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 びゅー、という冷たい風の音が聞こえた。

 小唄はその音に耳を傾けながらそっと自分の両目を閉じた。

 世界は真っ暗になった。

 その真っ暗な世界の中で、小唄は自分の終わりを受け入れた。

 雪の降る真っ暗な世界の中で、小唄の冒険は幕を閉じた。小唄は深い眠りの中に落ち込んで、『世界とはなんの関係もない存在』に変化していこうとしていた。

 小唄はただ『永遠と眠り続ける』だけの存在になろうとしていたのだ。だって無性に眠いのだ。寝ても、寝ても、眠り足りないのだ。

 小唄の頭の中に音楽はない。そのせいでこの世界から再び音は消えていた。世界は再び無音の世界となったのだ。

 体の感覚もない。そのせいで、どんなに冷たい風が吹こうと、どんなに雪が自分の体の上に降り積もったとしても小唄にはなんの不都合も起こらなかった。だから小唄はこんなにも安心できる世界の中で、気の済むまで眠ろうと思った。そう思うくらい、小唄はとてもとても眠かった。

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