第57話『メルからのメール』(※)
メルが病室を出てかなり時間が経過した。もしかして、自分の病室に戻ったのかな?
捜しに行ってみようか。
「お婆ちゃん……」
「うん、行っといで。少し気になるわ」
「わかった!」
僕は病室を出てまずはメルの病室へ。しかし、そこには誰も居なかった。やっぱり、トイレ、なのかな。……い、行ってみようか。
と、その時、
僕のポケットの中でスマホが鳴った。おかしいな、電源はOFFにしてある筈なのに。バイブではなく、確実に鳴った。短めのメール受信音だ。
ポケットからスマホを取り出した僕は周囲の目を盗むように廊下の端に立ち、その画面を確認した。
「……メル?」
あれ……どういう事、だろうか。メルのスマホって繋がってたかな?
内容は……
「GPS情報……地図……ここって、この病院から十分圏内だ。近いけれど……これは……」
……これはどういう意味だろう?
「い、行かないと……多分、行かなきゃいけないんだ……メルが呼んでる?」
わからない。でも、行かないと後悔する。どっちだ、地図を……尾姐咲公園の方角か!
僕は看護婦さんに怒られながらも廊下を走り抜け外に出る。寒い。夜はもう、かなり冷える。
はやく行かないと。次はあの角をっ……!?
「……っ……き、みは……!?」
角を曲がった先にいた人物、それは、
「久しぶり、悠人君。連絡ないから位置情報辿って来ちゃった。ふふっ、ねぇ悠人君〜?
……おはなし、しようよ?」
楠木未加奈……何故、このタイミングで?
「ねぇ、悠人君、私、さみしかったんだよ?」
「どうやってこの場所を……?」
「だーかーらー、悠人君のスマホの位置情報を……」
「まさか……君が関係しているのか……?」
「な、何よ悠人君……私はただ、会いたくて来ただけだよ?」
くそっ……これは偶然、それとも、犯人と楠木さんは繋がっている?
「悠人君、お話しようよ。また、前みたいにご飯食べたいな〜、あ、そうだ、ご飯行こう?」
「……え、と……」
「ほら、悠人君〜行こう?」
……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます