紫陽花

梅雨が過ぎ明日から夏休みという日

私は少し季節外れの紫陽花を買った。

大切な親友のジェシカにだ。

ジェシカはなにもしてこない。思わせ振りな態度をとって私の気持ちをさらっていくくせに。なにもしないのだ。

ハーフだから、海外育ちだから、そういうのもわかってる。だけど、私には耐えられなかった。

このはなのことは伝わらなくてもいい、知ってたら知ってたでごまかそう。何て思っていた。

でも案の定。知らなかった

「わぁっ!きれい!これみたことあります!」

すごく喜んで受け取ってくれた。私の思いも知らずに

毒々しい裏の気持ち、そうじゃない表の気持ち。あなたはどちらも認めてくれるの?

私は内心安心しつつ複雑な思いでいた。

「じゃあまたね!LINEしてね!」

何て軽く別れれば次会うときはどうしようとばかり考えていた



私はあの子のあの顔が好きなのだ。期待し絶望しどうしようもなく欲しそうな顔が、そして気がついてほしくてどうしようもなくてばれるかばれないかで行動する姿が。

「美しいって言われちゃった。」

私は紫陽花を見て呟く。

アジサイの花言葉は有名。海外だからと言って知らなかった訳じゃない。

でも、あの複雑そうな表情を見るのが好きなのだ

あなたもあなたなのならば、私も私なのだ。

いつまでたっても完成しない、いびつな関係を続けたいのだ

「私の中でもっと歪に咲いていてね」

彼女の去った方を見て小さく呟いた

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