10点

夜空のかけら

10点を取りました。

今回は、頑張った。

とても、頑張った。

これ以上はないほど、頑張った。


だけど、周囲の人は納得してくれない。

先生も、笑いながら首を振っている。

お手上げという感じかな。


女子は、こっちを指さして笑っている。

なんだ?

俺、人気者なのか?


帰宅部だから、部活はない。

ただし、妹が吹奏楽部にいる。


お兄ちゃんべったりな妹だが、迎えに行かないと、帰宅後に大変なことになるので、仕方なしに音楽室へ。

防音になっているので、廊下には音が漏れてこない。


扉を開ける。

なぜか、音が消える。

みんな注目している。


毎回の事なので、あまり気にせず、妹を呼ぶと満面に笑みが出てきた。

いや、今日は冷たい感じがある。

なぜだろう。


「10点か、10点って、あり得ない」


なぜ知っている。

まぁ、いいや。

親にも納得してもらえる出来だ。


***


両親に見せた。

テストの結果だ。

褒められると思っていたが、間違いだった。

ものすごく怒られた。


***

テストの10点は、俺だけだった。

しかも、110点満点という変則採点。


俺のために、下駄を履かせて、10点を捻出したのだとか。

本当なら、0点だった。


数学

先生が言うには、問題に対する回答はあっているのに、なぜか途中式がない。


生物

問題に対する回答が、繊細できれいな点描だが、普通に回答を書け。


国語

…どこの言葉だ。縄文時代か?


現代歴史

これは、ドイツの歴史か?


英語

…何も言いません。白紙で出したのは、あなたが初めてです。

名前だけで、10点としておきます。

0点だと、成績システムに入らないので。


そして、体育

ぶっちゃけ、真面目に授業を受けていない。

木に登って、逃げるな。


テストの点数は、お情け?で10点(110点満点)

成績は、全部Eだった。


点描だけは、頑張ったので、褒められて良かった?

10点だったけど





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10点 夜空のかけら @s-kakera

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