第7話 元引きこもりは決意する
私、
【
孤独者強すぎて恐ろしいんですけど……。
孤独者:味方が使用者の周りに居ないときに、使用者の身体能力、魔力、魔力抵抗を倍増させる(最大5倍)。
おそらくこんな感じ。魔人族は5人でやっと一人倒せるらしいからこんなものじゃないかな。
味方がってとこはこの解釈でいいのか正直わかんないけど、多分あってると思う。
オーバーキルって言うよりも、相手の弱点に攻撃を当てる感覚でどんどん魔人を倒しまくっている。完食が気持ち悪いけれど、慣れてくれることを祈るしか無い。
時々魔物も湧き出してくる。犬みたいなやつしかまだ出てきてないけどね。
最初は怖かった。気づいたら
帰ろうと思って歩き回ってたらトラップにかかって更に深いとこまで転移させられた。
幸い食料は10日分ほどある。
私はあまり食べないほうだから、おそらく15日はもつだろう。
武器は短剣一本。使うたびに刃にべっとりと着いた血糊を拭き取らなければいけない。この作業は慣れちゃったから問題はない。
あと水晶。これは安全なところで使おうと思う。
そういえば先生は言ってたな……迷宮は攻略すれば精霊と契約できたり、スキルがもらえるとかなんとか……よく聞いておけばよかった。
とりあえずここでの目標。
そのためにやらなきゃいけないこと。
食料確保(15日以内に攻略できそうなら必要なし)
武器の確保
こんな感じかな……うん、できそう。
食料は確か先生が、魔人や魔物でも、消毒、加工をしっかり行うか、火に通せば食べても問題ないって言ってたはず。
もし、消毒や加工、火に通さず食べてしまった場合は諦めろって言ってたと思う。
次に武器。
これは魔人や魔物の歯や爪を加工すれば作れるはず。
――あれ?迷宮攻略って意外と楽……?
いやいやそんなことはないはず。ここの魔人だけ弱い可能性も考慮しておかなきゃ。
それにここは迷宮。トラップだってある。私が踏んだ転移系統以外の、引っかかっただけで即死するようなトラップだってあるかもしれない。
気づいたら死んでました、なんてのは洒落にならない。
慎重に行動しなくちゃ。
私はなぜかユニークスキルを複数所持できている。理由はわからないけど。
このことから、まだまだスキルを獲得できると私は推測する。
スキル獲得には、何らかの条件があるはずだ。
それを
特定の行動や言動、それを組み合わせたものなど、パターンは無限にある。
一体どうすれば獲得できるのだろう……。
そんなことを考えていてもキリがない。
足が早い魔物や、防御力の高い魔物に遭遇してしまったときのために対策を考えておこう。逃げれなくなってからでは遅すぎる。
日本に居たときに有名だったライトノベル、こ◯すばのあの主人公はたしか、風邪魔法+土魔法で目潰しを行っていた気がする。あの人に習って私も土を投げつけて、目潰しをしよう。
水と土はこの迷宮にたくさんある。泥団子にしてストックしておこう。
私はせっせと泥団子を作っては固め、作っては固めと作業を繰り返した。
数分後、私の周りは泥団子で埋め尽くされていた。
おかしいって? なんで土がそんなにあるのかって?
私にもわからない。土を掘り出すと、掘ったそばから土が盛り上がってくるんだ。
とまぁそんな感じで泥団子をたくさん作った。流石にリュックにはいれたくないし、魔物の毛皮で作ったバッグに詰めておく。
そして、あのときと同じように唐突に脳内に直接声が響いてくる。
【ノーマルスキル、
ノーマル?普通ってことかな?あまり強くはないってことかな?
まぁ錬成って色々使えるしいっか。
早速使用してみようか。
私は地面に手をつけて、壁を想像した。そして地面に魔力を放出する。
――ズズッ……。
変な音とともに土がゆっくりと盛り上がって私を守るように壁を作った。
錬成って意外と役に立つ感じかな?
【ユニークスキル、
連鎖反応みたいにスキルを獲得していくけどこれが普通なの? それとも私が異常なの? しかもユニークだし。
魔力操作って体の外の魔力を操ることができるってことかな?
体内の魔力は操りにくいしそんな感じよね。
私は見えない魔力に自信の魔力を干渉させ、魔力の流れが一箇所に集まるようにイメージした。
すると、私の目の前に、薄黄色の淡い光が集まりだした。
これが魔力の色かぁ……綺麗だなぁ……。
私はなんとなく薄黄色の光を勢いをつけてあちこちに飛ばす。
すると、光がぶつかったところから、一瞬強烈な光が発生し、それをかき消すように光が膨張し爆発した。
同時に魔人族の悲鳴らしき声が響いてくる。
「ご、ごめんなさい……。うーん……明かりになると思っただけなんだけどなぁ」
予想外のことが起きたが攻撃手段を手に入れた。それに、分散させなければ明かりにもなるということだ。維持は結構難しいんだけどね……。
おそらく、一度魔力を操り、その操作をやめると爆発するのだろう。
悲鳴が聞こえたところまで歩いて行くと、やはり魔人が倒れていた。死んでいる。
手を合わせ、肉を引き裂く。慣れたものだ。慣れたくはなかったんだけどね。
これまでに魔人や魔物を倒しまくっていたので肉のストックはたくさんある。
私は魔力操作で火をイメージし、火をおこす。魔力操作は本当に便利だ。
やがて肉が焼けた。美味しそうだ。
これで食料には困らないはず。
突然私の脳に声が響く。
【ユニークスキル、
炎熱操作……? 炎を出せるってことなのかな?
試してみよう。
私は炎をイメージし、炎熱操作の発動を待った。しかし、先に発動されるのは魔力操作。
今度は、魔力操作で火を起こし、炎熱操作で大きく燃える炎をイメージする。
すると、火が大きくなり音を立てて燃えた。
恐らく炎熱操作は、炎を出すのではなく、炎そのものを操作するスキルだと思われる。
これで私の所持しているスキルは、
ユニークスキル:【智慧者】【忍耐力】【持続力】【士気高揚】【孤独者】【魔力操作】【炎熱操作】
ノーマルスキル:【錬成】
ノーマルスキルを合わせて8つ。【忍耐力】【持続力】【士気高揚】の3つはあまり使用していないと言っても他5つはよく使っている状態。
そして気づいた
みんなとはぐれて大体一日が経過した。
「……お腹空いた」
先ほど焼いた魔人肉を食べよう。
魔人肉を取り出し私は思わず、
「……美味しい」
と思わず声に出して魔人肉を食す。
少し固めだが、それがまたいい。
攻撃手段、食料ともに問題解決。
あとはこの
確か下に潜るほど階層が深くなり、最下層までたどり着ければ攻略できるはずだ。
一度転移トラップにかかってしまったため、現在の階層はわからないが、少し深いところに居ると考えていいはずだ。
みんなはどうしてるだろうか。私が居ないことには気づいただろうか。探してくれているのだろうか。
「……うぅ……家に帰りたい」
この世界に来て何度も言った言葉。絶対に生きて帰る。
私はそう何度目かの決意し、疲れを取るために錬成で小さな部屋を作り、深い眠りへと落ちていった――。
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