▲▲つ52っ! まさかのじぶん?!

 「あぁあああああ!!!獣、嫌い!怖い!!!ええい!!上は、ここは、何してるんだ!!私を、私を守れ!!!ポンコツ!!ポンコツがぁ!!!!」

 「?!」

 ……話を聞いてくれなさそうだ、博士は恐怖し。

 コントロールパネルを次々と操作しだしていて。

 空間に満ちる光がより濃度を増し。

 《コマンドを確認。シールドバッシュ・リングレンジ・オービタル確認。》

 そうしたならば、無機質な音声が響き渡り。

 なお、俺の盾からではない、例の眼前のパネルからだ。

 コマンドを確認したならば、丁度、帝国の、長城全体に渡って。

 盾が使う、相手を弾き飛ばす技を使うみたいで。

 「!!」

 ここにて、嫌な予感を覚えた。

 それを使うと、外の、上で戦っている人たちが、まずいことに……っ?!

 「ええい!!早くしろ!!早くしろ!!!!ビストが来る!!獣が、獣臭い連中が来る!!!早く!!早く早く早く早く!!」

 《コンデンサへのエネルギー充填開始。完了まで30分。》

 「おっそーい!!遅い遅い遅い遅い遅い遅い!!!!早く!速く!うおぉおおおおおおおお!!!何でもいい、回路も何もかもリレーして!!うおおぉお!」

 だからと言って、すぐに開始できるわけでもないようだ。

 システム開始に時間が掛かるみたいで。

 だが、博士はあまりの遅さに怒り。

 パネルに向いたなら、勢いよく叩き出していた。

 「!」

 何だか、それが隙に見えてならない。

 今この、操作している状態なら。

 相手を倒して、俺たちが乗っ取れるかもしれない。

 閃きがよぎり、俺は、じりじりと歩み寄っていく。

 《警告!ロックオン!》

 「!!」

 などと思っていたら、盾が警告してきた。

 思わず避けたその瞬間に、光弾が掠めて。

 どこからかと、理解するよりも速く。

 不意に空間が揺らぎ、象り、彩られて、何者かがこの場に出現する。

 聞き覚えある、モーター音を伴って。

 色彩されたその存在は、あの基地で出会った、例の機械兵だった。

 現れるなり腕から銃口を出し、撃ってくる。

 また、咄嗟に避ける。どうやらさっきのも、この機械兵がやったことか……。

 「うぉおおお!!!遅い!!遅い遅い!!貴様今まで何やっていた!なぜ通した!!!」

 自分を守護する存在がやっと出現したが。

 遅いと激昂し、つまり、礼を告げることはない。

 《申し訳ございません。現状把握に時間が掛かりました。ですが、あなたは必ず守護いたします。》

 しかし機械兵、丁寧なもので、ちゃんとした応対を示す。

 ちゃんと、狂人に向き直り、会釈、謝罪をした。

 「!今だ!」

 「!うん!」

 だが、今ここは戦いの場。

 ここで止めなかったならば、スフィアを停止でき鳴ければ、皆が危ない。

 それを、失礼ながら隙だと見て。

 俺とアビーが二人、機械兵に飛び掛かったものの。

 《抵抗は無意味だ。》

 「?!ぐっ!」

 「?!うっ!!」

 フォトンシールドを展開され、攻撃を防がれてしまう。

 《シールドバッシュ。》

 それからの追撃として、シールドバッシュが来る。

 「?!げっ!」

 予想できたが、反応が間に合わない。

 つい声が出てしまったものの。

 光の膜が強く輝いたなら、衝撃が伴って。

 俺とアビーを壁まで吹っ飛ばしてしまう。

 「!!うぎゃぁああああ!!」

 「!!ぐぅぅ!!」

 《カウンターインパクト。》

 その際、盾が反応して、衝撃を相殺。

 俺は無事、壁に叩きつけられることはなく、事なきを得たが、アビーは……。

 「アビー!!!くっ!行けぇ!!!」

 カウンターインパクト何てないアビーは、そのまま壁に向かっていた。

 俺は、ケガでもされたら、たまったものじゃないと、スフィアを放つ。

 杞憂に終わる、アビーは、見事に空中で自らを回転させ。

 衝撃を逃し、着地していた。

 《オービタルレーザー。》

 相手も、追撃を掛けているようで、スフィアを体中から展開し、攻撃を放たせる。

 レーザーがアビー目掛けて行ったものの。

 「!!う、うにゃぁ?!」

 アビーは目を瞑っていたが、彼女にレーザーが突き抜けることはない。

 俺が先に放ったスフィアが、盾となって防いだ。

 「ほっ……。」

 見ていて、俺はほっとしたものの、事態がまだ改善しているわけではない。

 「ええい!!!さっさと殺さんか!!!!遊ぶな!!!」

 それが、余裕をもって戦っているだけで、癪に障ると狂人は、叱咤して。

 《了。これより、殲滅モードへ移行。対象、ビスト二人、抹殺します。》

 機械兵は、頷いたなら、駆動音を全身から響かせて、全身を発光させる。

 それは、俺たちがやるように。

 スフィアを胸に入れて、全身の力を跳ね上げる様式に似ていた。 

 加えて、レーセまで取り出して、光の刃を形成したなら。

 狙いを定め、構えていて。

 「!!」

 目にも留まらぬ速さで、突撃してきた。 

 残像を伴うほどの動きでも、我ながら反応し、同じくレーセで受け流す。

 自身の力がこれほどまでとは、と思うほどだが。

 形勢が変わっているわけでもない。

 「ぐぉ?!」

 突然、胸倉を掴まれたような感触が襲うなら。

 《シールドバッシュ。》

 機械兵は、そのまま呟く。

 一瞬、相手の体が発光したかと思うと、衝撃に俺を弾き飛ばした。

 「わぁああああ?!」

 情けない姿に、情けない声だが。

 《カウンターインパクト。》

 盾の一声に、救われて。

 衝撃が相殺され、着地、また、対峙する。すかさず相手は追撃に移り。

 レーセで鍔迫り合いをする状態にまたなるものの、今度は俺から。

 「お返しだ!!シールドバッシュ!」

 《コマンド認識。シールドバッシュ。時間差で、オービタルレンジ。》

 同じコマンドを呟いた。

 そうすると、盾は意図を汲み取り、相手が放った手段以上の手で、行動を起こす。

 光の膜を、自分に形成したならば、放つ。

 《!!カウンターインパクト。》

 相手も、相手だ、同じように姿勢制御して、上手く着地しようとした。

 だが、盾はすかさず追撃する。

 相手の眼前で、スフィアを発光させて、衝撃を与え、転倒させた。

 「今だっ!!!」

 「分かったぁ!!うにゃにゃにゃにゃにゃ!!」

 それを隙と見て、合図を送ったなら、アビーはすかさず飛び掛かる。

 自身の手に光を集めて、また、光の爪を伴うならば、放とうとする。

 それは、あの時、鉱山に行く時、見せた、アビーの必殺技であり。

 勢い付けて、爪撃を放った。

 《フォトンシールド・出力最大。》

 ……反応は相手もして。

 応じるように盾を形成したら、彼女の爪撃さえ、無効化しそうな勢いで。

 「アビー!!!今すぐ避けて!!!俺が、俺が行くっ!!」

 ならば俺は、アビーのように跳躍を見せて、相手に飛び掛からんとする。

 アビーのように、爪を広げる動作をしたならば。

 ……この時に、スフィアをその爪の部分にあてがっていく。

 発光したスフィア、それはアビーの光の爪のようになり。

 「うん!分かったぁ!!大和ちゃん、いっけぇ!!!」

 俺の声に応答するアビー、空中で素早く反転して、攻撃範囲から逃げた。

 「うにゃにゃにゃにゃー!!!」

 俺も、アビーみたいな声を出し、その爪を振り下ろす。

 衝撃が幾重にも、反響するかのように伝わり、相手を押し潰すかのようで。

 凄まじい金属のかち合う音に、耳を塞ぎそうになるものの。

 我慢して、見届けようとした。

 すぐに立つ、埃と煙。衝撃に揺らぐ、半球面の明かり、つまり明滅して。

 「!!っととと!」

 ついバランスを崩しながらも、何とか着地した。

 着地したならば、相手を倒したと思しき地点をきりっと見つめて。

 「やったか……?」

 呟いた。

 ならば、終わったと一瞬安心しそうなものだが……。

 アビーもまた、終わったと思い、ほっとした顔をしていて。

 《警告!ロックオン。》

 「?!」

 その安心感は、無機質な盾の声に破壊されてしまう。

 身構えたなら、埃舞う最中、立ち上がる影あって。 

 「……!!」

 なお立ち上がるその姿に、固唾飲み込んでしまう。

 《スフィアリンク。フルドライブ。殲滅する。》

 「!!み、耳がっ……!!」 

 「う、うにゃあ!!」

 無機質な音声で、機械兵が言ったなら、凄まじい高音が。

 それも半球面で反射した音と干渉して、強め合って耳に届き。

 俺とアビー、思わず耳を塞ぐ。

 煙立ち消え、その姿露に。

 俺は、そうであっても、構えるのをやめない、なお対峙する。

 「……?!!」

 だが、その対峙、改めて見た機械兵の姿に、崩してしまいそうで。

 姿見て、目を丸くし、絶句してしまい。

 「……な、なぜ……っ?!」

 そうであっても絞り出した、言葉。

 なぜならば、相手は。

 俺だった。正確には、前世の俺だったのだ!

 顔は今まで、仮面に覆われて、その形分からなかったが。

 今この瞬間、おそらく俺たちが放った一撃に、仮面が砕かれて露になった。

 その顔は、一切の感情はない。

 まるで、俺が岸から飛び降りる時まで見せた、顔のようで。

 顔以外は、無機質な金属の鎧で覆われているのだが。

 しかしそれも、先の一撃で破損しているようで、内部の機器が見え。

 かつ、肉体は人間か、血液も漏れ出ていた。

 ……ふと、サイボーグという言葉が浮かんだものの。

 それ以上に、対峙していたのが自分であるというショックが大きく。 

 口は残念ながら、よく動かず、震えるばかり。

 しっかりと構えていた、自分の体もこの時は、力入らず、だらりとして。

 ショックに、思考まで止まり、反応が遅れてしまう。

 《排除、する!》

 それが俺の見せた隙であり、相手は見逃さずに攻撃を放って来た。

 先と同じ、目にも留まらぬ動きで。

 だが、違いが。

 力を無理矢理入れたであろう、途端大量の血が溢れるのを目にした。

 「?!しまっ……。」

 相手は、攻撃してきている。

 だのにぼさっとしてしまい。俺は防御が間に合わない!

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