▲▲つ48っ! たたかいだね!がんばっちゃうぞ!

 その様子に、言葉を詰まらせてしまうものの。

 「?!」

 それら、途端起こった爆発音に掻き消されてしまう。

 見たならば、収容所の建物の壁が破壊されていて。

 また、共和連邦でない一般の収容者は、そこからこれ幸いと逃げ出していた。

 脱走を相手が見過ごすわけがなく、追撃しようとするものの。

 作戦を開始したビストの人たちに、妨害されてしまう。

 構えたライフル銃が火を噴く前に、殴られたり。

 高い塔から狙っていた相手はレーセで塔を破壊されてしまい。

 崩落に巻き込まれて、叶わず。

 「素敵な鉄火場かんせーい!!!いぇええええええい!!」

 「「いぇええええええああああああ!!!!」」

 「……さ、サカマタさん……。もう追いついたんだ……。」

 その光景に心ときめいたか、テンションがやたら高く登場した。

 サカマタさんとその愉快な仲間たち、歓声を上げていて。

 祭りに参加するような形で、乱戦に身を投じてきた。

 慣れないね、そのテンション。俺は、引いてしまったよ。 

 《一般人を誘導しろ。それで脱出だ。》 

 胸元の通信機から、命令があり、脱出した一般人の安全の確保を命じてくる。

 「おれっち戦いたいっす!!!戦えないなら、徒歩で逃げやがれってんだ!」

 「……。」

 頭に血が上ったか……と言えばいいのかな。

 一人はテンション高く言っては、命令を無視するみたいで。

 《はぁ……。だからあいつら連れて来たくなかったんだ。プラン変更、誘導している連中は、ピックアップトラックに急げ。頭がイカれた奴らに運転は任せられん。》

 それは伺われていて、通信からは呆れた声が聞こえた。

 別途、プランを講じているみたいだ。

 その命令通り、展開した兵士の内、何人かが別に動きだし。

 光線銃を乱射して敵を牽制し、収容されていたビストたちを誘導していた。

 「行けっ!行けっ!行けっ!!」

 一人の兵士は誘導し、トラックの荷台に乗せていく。

 圧倒的で、電撃が走るような速度で、作戦が遂行されていく。

 俺は、つい呆然と見とれてしまっていた。

 「!」

 だが、帝国側がそう、安々帰らせてくれるわけではない。

 ……巨大な壁の方に動きがあった。

 よく見えないが、壁から砲塔のような物が次々と顔を覗かせているみたい。

 《伏せろ!!!》

 通信機から怒号が。それは、よく分からないけれど。

 いわゆる、一斉射撃じゃなかろうか?

 怒号に合わせて、こちらも防ごうとしたならば。

 《ロックオンを確認。防御します。フォトンシールド・オービタル。なお、超広範囲に展開するため、スフィアをリレーします。全スフィア、起動。》

 「!!」

 盾が起動し、光を集める板を広げたなら、さらに俺のバックパックや。

 手持ちの全てのスフィアを光輝かせ、飛ばした。

 星空のように輝くスフィアが、一群となって広がり、膜を同じく広げる。

 相手側が光弾を発射したなら、それらは、光の膜に阻まれ、弾け。

 ……俺たちがいるこの場所に、花火のように彩っていった。

 「?!な、何だ?!」

 「み、見ろよこれ!!こんな広範囲に……っ!!」

 「だ、誰だ?!ど、どこの誰がやってんだ?!」

 《状況を報告せよ!》

 「分かりません!光の膜が俺たちを包んで……。だからでしょうか、我々や救出対象に一切の被害がありません!」

 《……ウィザードか。》

 「「!!!!」」

 この状況を見て、驚嘆した兵士たちが、それぞれに声を上げたなら。

 通信先の一言に、はっとなっていた。

 ウィザード。その単語だけで、一瞬静まり返り。

 「「うぉおおおおおおおおおおおお!!!!!」」

 「ここに、いるのか?!どこのどいつだっ?!」

 「噂じゃ、田舎の村人らしい。」

 「田舎ぁ?!くそっ、見分けがつかん!どいつもこいつも、揃いに揃って田舎者ばっかなんだよ!!もっとヒントをくれ!!!」

 「知らん!最近噂になっているからな。文字通り、流星のごとく現れてきた、て噂だからな。」

 「……なあ、僕の近くにいるかなぁ……。いたら僕、こっそり帰ってもいいかな?」

 「「?!」」

 「甘ったれるな、バカ!仕事しろ!!」

 「……冗談だよ。本気にしないで。」

 から、士気が一機に高まる。

 噂話が飛び交い、自分の仕事そっちのけで、それぞれ周囲を見渡していた。

 《仕事に集中しろ。陸の連中が来たがっているぞ。掃除はしっかりしろ。》

 「「へ~い。」」

 お喋りはそこまでと、指揮官からの命令に、やがて押し黙った。

 彼らのやり取り、遠目に俺は、結界を張り続けていて。

 来る衝撃に、視線を元に戻した。

 《警告!フォトンシールド出力低下。》

 「!……ええと、何とかならない?押し返すとか、シールドバッシュとか。」

 その際、俺が張り巡らせた結界が。

 その出力を低下させていると盾が警告してくる。

 《残念ですが、シールドバッシュを行うには、密度が不足。維持にエネルギーを回すのが得策です。》

 「……そうか。」

 解決策は、なく。

 残念なことに、心許ない。

 やむなく俺は、維持のために。

 自分が意地張るみたいに気合を入れて、手を広げた。

 「!」

 ふと、そんな俺やアビー、近くで戦う兵士たちに、甲高い風切り音が響いて来る。

 頭上が一瞬暗くなったなら、風圧を伴って。

 見上げたなら、巨大なミサイルに見える。

 〝何か〟が音を立てていくつか飛来していた。

 その巨大な物、危険を感知した帝国が、砲身をそちらに向けて、射撃する。

 おかげか、こちらへの光弾の量が減っていった。

 「な、何だ、あれ?!」

 一瞬、共和連邦が、弾道ミサイルでも撃ったのかと思ってしまったが。

 何か、違う気がする。

 《……フェイズ2に移行!ブースター分離!》

 「?!こ、この声は?!」

 通信機から聞き覚えのある声が響き。俺は、目を丸くした。

 同時に、そのミサイルみたいないくつもの物体が、宙にて分解を始めていく。

 対空火器によって、破壊されたか?いいや。

 自らバラバラに分解しているみたいで。

 そのばらけた破片の中に、見覚えのある物体が見えた。

 マキナを運ぶコンテナだ。

 ミサイルみたいな物体とは逆に噴射を掛けて、制動して。

 一定の高度に達したなら、そのコンテナも開き。

 勢いよく出たなら、マキナは落下して来て。

 ここにて、制動のために落下傘を開いた。

 「うっ?!」

 落下した衝撃が伝わり、勢いに砂が舞う。思わず顔を伏せたが。

 「ガォオオオオ!!」

 マキナの咆哮に、顔を上げる。

 共和連邦のマキナで、ここにきて、矢面に立つそれは。

 俺たちを守る救世主のようだ。

 「!」

 いや、そのマキナの中で一機だけ、異様な動きを見せる。

 それに俺はまた、目を丸くして。

 獣のように四足で降り立ったその一機は。

 不可思議なことにいきなり二本の足で立とうとしたならば。

 腕も脚も、挙句胴体も変形していく。

 脚は、二足歩行に適応した形に変形し。

 腕はさながら人のように道具を扱える形態に変わる。

 胴体は、堂々と胸張り立つ、戦士に変わり。

 また、獣の頭は胴体に格納され、新たに人の頭が抜き出てきた。

 そう、人型へ、変形したのだ。

 「うぉー!!すっごーい!!」

 アビーは驚嘆の声を上げ。俺は、呆然と見ていて。

 《はぁ……はぁ……。フェイズ2終了。フェイズ3に移行。さすがに、搭乗してこれは、私でもキツイな……。》 

 「……まさか……。」

 また聞こえた聞き覚えのある音声に、やっとピンと来て。

 そう、その声は、軍港の近くまで俺たちを届け、祈りを捧げたあの隊員であり。

 ……まさかと思って、巨人のマキナを見たならば。

 搭乗している可能性も湧き上がって来た。

 巨人は、俺に振り向いたなら。

 《……ウィザード。よく守ってくれた。重ね重ね感謝したい。》

 話しかけてきた。ここにて、確信に変わる。

 やっぱり、あの人だったんだ。あの、隊員さん!

 「やっぱり、あの時の……っ!で、でも、どうしてですか?!」

 ならば、なぜここへ?なぜ、それに乗ってまで?

 《これは我々の戦いでもあるのだ。君たちだけが、向かわせるのも正直忍びない。幸い、今日この瞬間、君たちを助けられる。どうか、本来の任務である、この攻略を、我々にも遂行させてほしい!》

 「……はい。」

 隊員さんは、戦うための意思を俺に示してきた。

 それは、本来自分たちの任務であり。

 それを俺に、俺たちだけに背負わせるのは、我慢ならないと、立ち上がって。

 この瞬間が、まさにその時だと、奮起して。

 その志に、俺は立ち上がり、巨人と同じように向き直ったなら、頷いた。

 すると、巨人は拳を握り、俺の眼前に突き出してくる。

 「!」

 一瞬驚きはしたが、意図を理解して、そっと笑い、俺もまた、拳を突き出す。

 視界にてその拳同士が、重なり合った。

 《スフィアの導きだ。》

 「……ですね。」 

 《スフィアと共にあらんことを。》

 「ええ。」

 スフィアによる導きに、祈りの言葉も拳に重ねて。

 そっと俺は頷いたなら、巨人はまた、壁に向き直り、今度は銃を構えた。

 《フェイズ3開始。》

 その言葉皮切りに、マキナたちは動き出した。

 「!」

 また空に影が現れて。風切り音を伴って。見上げれば、それは航空機。

 だが、大きくはなく、輸送機や爆撃機じゃない。小さな翼、それは戦闘機であり。

 3機で、編隊を組んで飛行してきていた。

 ……これにも、見覚えがある気がするんだけど……。

 《……どうやら、俺たちの中にも、コックピットに乗り込んで戦う、頭のおかしい奴が紛れていたみたいだな。》

 《俺たちも似たようなもんじゃん!!陸軍にだけ、いい思いはさせねーぜ!》

 《……そうだな、似たようなものだな、お前がな。》

 《んじゃ、俺が行きまーす!》

 通信のやり取りが聞こえ、……これも聞き覚えがあるんだけど。

 編隊飛行していた内の一機が、外れて、単独で壁に向かっていく。

 《……はぁ、あの無鉄砲……。》

 《ははは。若くていいじゃないか。ああいう奴が、道を開いていくこともあるんだ。聞いた話じゃ、陸の方ではウィザードが出たって聞く。その人物だって、道を切り開いていくんだ。私たちは、彼らみたいな人間の補助をすればいい。さあ、行くぞ。》

 《……了解。》

 《共和連邦海軍、極東方面所属、特務艦隊付き、並びに第0護衛艦隊航空隊、〝ソラネコ〟、エンゲージ。》

 「……。」

 その通信が切られ、やがて残り2機も続いた。

 高らかな警報は壁からも鳴り、今度は空とマキナに攻撃が放たれていく。

 「!」

 帝国側も、反撃として戦闘機を上げてくる。

 加えて、地上に攻撃するための兵装も見えた。

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