▲▲つ41っ! ついらく?!

 「……。」

 目を瞑り、思考に移る。

 当たり前だが、反撃しちゃダメな気がする。

 だって、その人たち、あの隊員さんたちの仲間だよ?

 見送る際に、祈りの言葉を告げた人の仲間だよ?できない。

 「……ええと、攻撃しないよう通信できない?」

 反撃する前に、何とか攻撃しないようできないのか。

 模索として通信を選んだのだが。

 《残念ですが、当機の敵味方識別方式では、相手には〝敵〟としか認識されません。また、通信をしても、信用されない可能性もあり、その選択には賛同できかねます。》

 「……。」

 盾は拒否した。沈黙するしかなく。 

 《!第二波来ます。》

 「?!え、そんな……。」

 その沈黙する余裕さえ、状況はくれない。

 俺が反撃するか否か逡巡する間にも動きはあり。

 もう一度、攻撃が為されようとしていた。

 「?!うわぁああ!!」

 「?!うにゃぁあ!!」

 衝撃があり、爆炎と爆風が舞い上がる。

 俺は、思わず叫んでしまう。アビーも一緒に、叫んでしまった。

 ……当たり前だが、相手は、共和連邦はこちらを味方と認識していない。

 当然、攻撃してくるか……。

 《なぜだ!!なぜ迎撃しない!!!》

 《わ、分かりません……。いえ!!内部から操作がロックされています!》 

 《な、何だとぉ?!す、すぐに処置しろ!!!!》

 《侵入者の可能性があります。……何とか応対をいたします。》

 その衝撃は、空母内部にまで伝わっており。

 また、俺の乗っている機体が一切行動しないことから。

 ……とうとう俺たちの存在がバレそうだ。

 《くそぉ、手持ちはこれだけかっ!!》

 「!」

 そのための応対として、俺が乗っている機体に、外の兵士が発砲する。

 手持ちの、ライフル銃だが、光弾が放出され、機体に直撃する。

 破裂する閃光に思わず目がくらんだ。

 「うぅ!」

 「わ~ん!目がいたーい!!」

 軽い悲鳴が、俺とアビーから。

 《ええい!こちらで応対する!!このっ、役立たずども!!》

 「!」

 罵声が別の方から来たなら、またロックオンが成されて。

 見ると、どうやら護衛の艦船からのようで。

 砲艦か、その主砲がこちらに向けられた。

 嫌にきらりと輝く。

 その様子は、獣の眼光のようで。嫌な予感に、俺は冷や汗が流す。

 《警告!ロックオン。迎撃します。》

 「……って、そっちには攻撃するんだ……。」

 察したのかどうか知らないが、……帝国側には迎撃するつもりで。

 盾はコマンドを勝手に実行する。

 恨みでもあるのかな、そう思ってしまう。突っ込みはさて置かれ。

 火器管制を操作して、俺たちに砲を向けた艦に照準が合わさる。

 同時に、機体の腕が動き、手にしている得物を、照準した先に向けた。

 《撃ちます。》

 容赦ないな。

 《?!お、おい!!!我が艦に照準が向けられている!!どうなっている!》

 《くそっ!コマンドを受け付けない!!だめだ!!!急いで破壊しろ!!》

 《対マキナ用ライフル、スタンバイ!!!》 

 慌ただしさは増して、聞こえる通信にも伺える。

 しかし、盾は攻撃行動を止めやしない。

 マキナの手は、引き金を引いた。

 大きな光弾が飛び、狙った艦の艦橋や、砲塔を破壊した。

 《ぐあぁあああ!!!》

 《レーダーが……!システムが……!!》

 通信に、爆音と絶叫が混じった。

 破壊されている音もあり、相手にダメージが入っているようだ。

 《警告!ロックオン。迎撃します。》

 「!!」

 また、ロックオンだ。

 マキナがその方を向くならば。

 別の護衛の艦がまた、砲塔をこちらに向けている。

 いや、それだけじゃない、他の艦も。

 《ってー!!》

 発砲の許可が聞こえたなら、砲塔から光弾が見える。

 「!!」

 《迎撃します。》

 合わせて、反撃するようにこちらも砲撃をする。

 「?!」

 「み、みぎゃぁああ!!」

 全く同時であり、砲撃がこちらに直撃した。衝撃にアビーが叫ぶ。

 《ぐぁああああ!!!》

 《レーダー破損、迎撃不能!!火器管制応答しません!》

 相手にも直撃したようで。

 モニター越しに、爆炎が見えた。相手の艦の所々から炎が上がっている。

 《当マキナにダメージ。》

 「……ええと、何かこう、……できない?」

 《ですが、行動に問題はありません。》

 盾は、淡々と状況を説明してきた。

 コックピットモニターにも、ダメージ範囲が表示されている。

 胴体の一部、脚部にダメージがあるみたいだ。

 《警告。シールドジェネレーターが破損。次直撃を受ければ、破壊されてしまいます。ここから脱出いたします。》

 「……。」

 続けられることには、大事のようで。コメントできない。

 《経路確認。脱出します。》

 経路を見付けては、脱出のために行動する。

 ゆっくりと動いたなら、方向転換して、マキナは身構える。

 背中から軽い衝撃がある。

 モニターに映されることには。

 このマキナの背中には、飛ぶための翼があるようで、それが大きく展開する。

 鳥がそうするように、大きく揚力を得るための。

 《現状はどうなっている!!》

 《か、確認できません!!》

 「……。」

 通信は大慌ての様相。

 《現在、我々にロックオン反応はありません。今の内に脱出いたします。》

 「!」

 傍ら、盾はそれをチャンスとして行動、この空母から逃げ出すつもりだ。

 振動、金切り音が聞こえたなら、マキナは跳躍する。

 《?!に、逃げただと?!迎撃しろ!!》

 《ダメです!火器管制全てダウンしています!!》

 轟音といい、跳躍といい、この艦隊には聞こえていて。

 怒号と共に迎撃行動をしそうなものだが、幸いか、行動できないでいる。 

 その隙に、俺たちは、マキナをもって、空母から脱出した。

 「!」

 モニターを見ると、艦隊が一斉に攻撃を受ける様子が見えた。

 次から次へと、艦船が沈められている。

 朝焼けに、悲しくも映る。

 敗走の果てに、死が与えられた光景に、悲壮が。

 《警告!ロックオン。》

 「?!」

 けれども、悲壮さえ拭われて。無機質で無情な音声は、盾から漏れる。

 同時にロックオン警告が表示されて。

 ぎょっとして見ると、こちらに向かう航空機がいくつか表示されている。

 相手は帝国か?

 いいや、違う。共和連邦だ。

 《艦隊は壊滅させた。後は先程出撃した一機のみ。逃すな。》

 《了解!攻撃します。》

 《……一応、確認してみますか?内部に人が乗っている可能性もあります。》

 《却下だ。今の時勢、コックピットに乗って操縦するのは、余程の物好きか、頭が変な奴だけだ。そんな奴は、使い捨てされるだけの、人間。帝国とて、価値はないと、判断しているだろう。》

 《了解。》

 《それを言ったら俺たちは、あれだな、頭のイカれた奴ってか?ははっ!傑作だな。》

 《軽口は叩くな。俺たちはマキナにできないことを望まれているんだ。与えられた使命、全うするまで。》

 《へへっ。あんただって真面目のフリして、意外とイカれてんのにな!》

 「……いやーな予感……。」

 飛び立ったその先で入って来る通信、和気あいあいとしていて。

 また、会話から嫌な予感を覚えた。

 《警告!ロックオン。迎撃しますか?》

 「?!そ、その……それはっ……。」

 その通りに、攻撃行動があり。俺は、指示を求められて。

 だが、逡巡してしまい、反応が遅れてしまう。

 「み、みぎゃぁああ!!」

 「う、うわぁあああ!!」

 故に隙が。そのために、攻撃されてしまい。俺とアビー二人、叫ぶ。

 衝撃が、また、コックピットモニターが衝撃に乱れて。

 ……さらに、そう、状態が分かる部分では、次々と赤い色、破損に染まっていく。

 翼が、広げたマキナの翼が、もがれていく……。

 《ダメージコントロール不能。ベイルアウト。衝撃に注意。》

 盾はコマンドを実行する。

 途端、俺たちが入っているコックピット事態に大きな衝撃が走ったなら。

 宙に放り出される感覚が現れる。

 モニターは消えて、残念ながらどうなっているのか分からない。

 「あっ?!いっ?!うっ?!」

 「みゃっ?!にゃっ?!うゃっ?!」

 からの、連続して弾むような衝撃が来た。

 二人して、変な声を出してしまう。

 柔らかい衝撃が、最後来たと思ったら、水を掻き分ける音が聞こえる。

 その後、空気が放出される音が響いたなら、やがて静かになった。

 「……。」

 「……静かになったね……?」

 「……だね。」

 その静寂に、アビーが言葉を投げ掛ける。俺は頷いた。

 おまけに、モニターも何も映らないこの空間は、暗闇でよく分からない。

 「暗くて狭いよ……。でも、あたしは好きかな。大和ちゃんもいて、あったかいし。」

 「……。」 

 俺としては。

 暗くて狭いこの空間だと、状況がよく分からなくて好きではないが。

 アビーは好きな模様。

 流石、猫だね。表情は分からないが、きっと笑っているに違いない。

 《コックピットを開放します。》

 「!」

 傍ら、盾は言って、行動する。

 すると、密閉された空間が、音を立てて解放され、光の元に出る。

 香って来る磯の香。

 また、混じる煙の臭い、広がる大海原。

 ……今自分たちがいる所は、海上だと理解した。

 「……。」

 なぜ沈まないか、見下ろしたなら、このコックピット、脱出し着水すると。

 船のようになるみたいで、ゴムボートのような物が膨らんでいた。

 これによって、浮力を得ている。

 また、ここまで来る間の、幾度もの衝撃は。

 水切りみたいにこのコックピットが弾んだものかもと、類推する。

 「ぷはぁ~!うぉお~!海だー!!」

 方や、解放されたアビーは、気持ちよさそうに一言述べる。

 窮屈からの解放だろうな、その気持ちよさは。

 海原の光景に、瞳を輝かせて。

 「!!ねぇねぇ!」

 「?」

 同じく周りを見渡していて、気付いたなら、アビーは小突いてくる。

 どうしたのかと見たならば。 

 「お船、手に入ったね!ねっ!」

 「……あ、ああ……。」

 一言、笑顔で指差して。この下の、ゴムボートに。

 なるほどと、ここで変に感心してしまった。

 皮肉ながら、ここで〝船〟を入手できたようだ。だが、動力がない。

 これではここから動くことは叶わない。

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