▲▲つ40っ! しゅつげき?!

 「!!」

 「?!うにゃぁ?!……じゅる……。」

 夢の世界に旅立ったと思った矢先に、伝わる衝撃に二人飛び起きた。

 アビーはどうやら美味しそうな夢でも見ていたのだろう、涎を拭う。

 ……そこも、呑気なものだな、感心してしまうよ。

 だがそれよりも、一体何が起きたのか確かめたくもなる。

 そっと、耳を当てたなら。

 「くそぉ!!共和連邦の連中、追撃してきやがった!!!」

 「ぐっ!見逃すわけがないか……。奴ら、意趣返しをしてきている。何せ俺たちは、〝クレ〟も〝サセボ〟もやってるからな……。」

 「て、敵は?!」

 「分からん。……いや、噂によると、〝零番艦隊〟らしい。」

 「?!」

 「!!ま、待て貴様!!浮き輪持ってどこへ!!!」

 「バカ野郎!!!最悪の知らせだ!!!!俺は逃げるぞ!!!」

 「逃亡は許さん!!」

 「ぐぁあ!!」

 どうやら、攻撃を受けているみたいで、一層慌ただしい。

 また、逃げ出す者がいて、その人物に発砲もしていた。

 「……な、なにぃ?!」

 「分からない。けど、攻撃を受けているみたいだね。」

 アビーは状況を聞いてきた。覗いてはいないが、会話だけを耳にしていて。

 俺が類推したことには、攻撃を受けている、ということで、伝えた。

 「ど、どこからだろー。」

 変に不安にさせる言葉をアビーは呟いた。

 俺は、黙ったまま、状況を伺うために耳を澄ませている。

 「!」

 また衝撃と揺れだ。今度は、直撃か、同時に傾斜もする。

 外から絶叫が響き渡り、爆発音も。

 「あ!」 

 その衝撃でか、こちらが入っているコンテナの扉も開いてしまった。

 慌てたものの、幸い気付かれていない。

 「!!ど、どうしよー!!」 

 珍しくアビーが不安そうに言う。

 その通りに、このままだと、いずれ見つかってしまうかもしれない。

 「……。」

 策はないか、見渡して探すことには。

 「!」  

 傍にあった、大型のマキナに目が留まる。

 「何かこう、中に乗るとかできるかな……。」

 今考え付いたことが、口をついて出てしまう。 

 《検索中。確認。搭乗できます。ハックいたします。》

 「!」

 腕にある盾は、勝手に動いては何か操作する。

 すると、マキナの胴体部分が大きく口を開けるように開いた。

 コックピットのようだ。椅子だが、リラックスはできない。

 その左右には操作用の棒があり、椅子のすぐ前には、大きなモニターが一つ。

 こんなの、ゲームや漫画ぐらいでしか見たことがないよ。

 「!!何これー!!」

 アビーもまた、傍から覗き見たら、大きく疑問を言ってくる。

 「!ま、まずい!」

 「?!何だっ!!」

 「誰かいるのか!!」

 「この音はっ……!!」

 思ったより大きかったようで、その声は危険な状態であっても通った。

 気付かれたと俺は反射的に言ってしまう。

 また、開いたコンテナの先からも、同様に気付いたという感じで声が聞こえて。

 慌ただしい足音が、声のある方へ向かってくる。

 俺は見て、危機を感じ、どうしようかと見たならば。

 盾が開いた、マキナの胴体に目を向けたなら。

 「アビー!」

 俺は閃き、アビーを肘で軽く突いて、指でコックピットを示す。

 「ここに入ろう。隠れよう!」

 閃いたことを述べることには、ここに隠れようと。

 「!う、うん!」

 アビーは一瞬、思考が停止していたが、俺が言うならと我を取り戻し、賛同。

 俺とアビー二人、兵士が駆け付ける前にコックピットの中へと消えた。

 コックピットを閉じたなら。

 「むぎゅぅぅぅぅ……!」

 「……む、むぐぅ……。」

 ……結果、隠れるには良かったが。

 不幸なことに、このマキナ、一人乗りらしく、中身はぎゅうぎゅう詰めだ。

 二人密着して、鼓動まで聞こえてきそうで。

 「……!!」

 その密着に、つい赤面も。

 「……何もいないっ!」

 「……気のせいかっ!」

 コックピットの向こうでは、兵士たちが近付いて。

 コンテナ内を捜索しているようで。だが、俺たちの姿は見つけられなかった。 

 「!おい、それよりも。出せる物全部出せ!今ここで、やられたら、この艦隊が壊滅したら、東の方はもう、回せる部隊はなくなるそうだ!」

 「!!はっ!全てのマキナを起動します。準備でき次第、出撃させます。」

 「……?」

 《マキナの起動信号を確認。いかがいたしますか?なお、当機は我々のコントロール下にあります。》

 外の会話を聞いていたみたいで、盾は言ってくる。

 「ええと……。」

 だからといって、すぐに言葉が思いつく物でもなく。

 アビーと触れ合うような状態では、なお思いつかない。

 「あ、アビー……。お、俺に座るように動いて……。」

 「?」

 まず、視界が悪い。

 ……ちょっと嬉しいことだが、視界はアビーの胸に遮られていて。

 アビーは多分、首を傾げているのかも。

 「……そ、その方が、楽だと思う。」 

 付け加えたなら。

 「!わ、分かったぁ……。」

 理解してくれたようだ。

 もぞもぞと動いたなら、アビーは丁度俺に座るような形になった。

 二人羽織のような姿勢かな。視界がクリアになったよ。

 ちょっとだけ、残念だけどね。でも、そうも言っていられない。

 それよりも、と。

 「……起動してくれ。」

 《コマンドを確認。起動します。》

 「!すっごーい!」

 盾に命令したなら、コックピット内が一瞬で明るくなり。

 コックピット全体にまで、映像が投影される。

 外の様子が伺えた。

 また、下のモニターも明るくなっているが。

 そこはアビーの体に遮られて、残念ながら見えない。

 《いつでも動けます。なお、コントロールは通常スティック等を用いて行いますが、私を通じて、コントロールできます。どうぞ、ご命令を。》

 「……。」 

 盾は淡々と言って、操作法を伝えてきた。

 俺は、唾を飲み込んで覚悟を決め、そっと視線を先に向けた。

 《起動したか?!》

 《は、はい!こいつがしています!!》

 外部から、音声が聞こえてきて。

 外の兵士たちの会話だ。俺が乗っている方を指差しているようで。

 《よしっ!こいつから出せ!エレベーターで上部甲板へ向かわせろ!!》

 《り、了解!歩行指示!》

 兵士たちが何か操作している。

 すると、発進命令を受信して、コックピットに指示が出された。 

 《いかがなさいますか?》

 盾は聞いて来る。

 「……何だか、このままいて怪しまれるのも癪だ、とりあえず、動こう。」

 盾が聞いてきたことに、少しの間思考する。

 ふと考えたなら、ここに乗っていて。

 かつ、コントロールを奪っているんだ、動かないと怪しまれる。

 ならばと、俺は盾に指示を出した。

 《了解。移動開始します。マーカーに従って動きます。移動中、振動があるかもしれませんので、シートベルトを締めるなど、安全対策をよろしくお願いします。》

 「……分かった。」 

 移動を開始するみたいで、色々と言ってきた。

 まるで、飛行機に乗るかのような指示だ。

 頷きはするものの、……シートベルト何てあったかな?

 周囲を見渡してもそれらしき物は見つからない。 

 「……アビー。」

 「?なぁに?」

 見つからないならならないで。

 傍にあったスティックなり何なり握ればよい。

 だが、アビーの方は……、と思い、声を掛けると、ちらりとこちらを見てきた。

 「しっかり、捕まってて。ええと、何かそう、掴める物とかに、さ。」

 盾から言われた注意事項、繰り返すようにして、アビーに言った。

 「!分かったぁー!」

 元気よく答えてくれて。

 そう、自分の目の前のモニターに、がっしりとしがみついた。

 振動と衝撃。

 画面が進んでいく様子から、今乗っているマキナが進みだしたみたいだ。

 ゆっくり歩いて行ったなら、ある一点で止まる。

 そこは、色々な物に囲まれた、多分格納庫の場所に置いて。

 綺麗にどかされた床の上であり。

 また、勝手に上に登っていく様子から、格納庫のエレベーターみたいだ。

 「!!」

 やがて、最上階に到着したなら、そこは島と思うほど広い、甲板のようで。

 やはり、空母。

 その証拠に、いくつか戦闘機らしき物の姿も見え。

 発艦の準備を整えているようだ。

 それら全て傾いた陽光に照らされて。

 それは夕暮れ時かと思ったが、時刻は朝の模様。朝焼けか。

 《急いで迎撃させろ!!》

 通信か、音声か、コックピット内に響く。

 また、その言葉と同時に、轟音が響き、こちらの頭上を通り過ぎていく影が。

 相手側の戦闘機か。

 《警告!攻撃を確認。衝撃に備え!》

 「?!」

 そう思ったなら、盾は警告する。

 コックピットモニターには、どこから攻撃が来るか指示していた。

 途端、衝撃が走る。機体が、バランスを崩したみたいに傾いた。

 いや、俺の機体だけに被害があっただけじゃない。 

 今立っているこの空母にまでも。

 さっきのは、攻撃の模様。

 その結果として、空母にダメージがあり、故に、船体が傾いた。

 証拠として、上手く固定してあったはずの、戦闘機がずり落ちていく。

 また、火災か、煙も上がっていた。

 《ええい!!迎撃は何している!!!》

 《そ、それが、最初の攻撃で迎撃システムがダウン!おまけに、さっき上げたマキナが、迎撃行動を行ってません!》

 《?!げ、原因は?!》

 通信も、慌ただしい。行動も慌ただしそうだ、様子が想像できる。

 《CICより、迎撃命令が出ています。実行しますか?》

 「……どうしようか。全く分からん。」

 入れ替わりに、向こうから迎撃命令が来たが、俺はどうしようか迷う。

 《現在地にて、攻撃をしてきたのは、このタイプの模様。》

 「?」

 迷っているならと、盾はコックピットに情報を提示してくる。

 それは、戦闘機の情報で、立体的に、機体全体が見えるよう投影されていた。

 俺が知っている、強力なステルス戦闘機の形だが、尾翼が違う。

 X字を思わせる形で。

 ステルス機らしい、その立体表示内の説明では、胴体のウェポンベイかな。

 格納する部分の開閉も示していた。

 なお、機体の名称として〝F-X〟とあるものの……。

 果たして末尾は本当にアルファベットのXか?

 詳しくないので、そこは分からないや。

 加えて、エンブレムか、部隊章か分からないが、マークも表示される。

 そのマークには見覚えがあり。

 五つの円で象られた花、囲む大きな二重丸……共和連邦だ。

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