▲▲つ34っ! いないよー!どーしよー
飛空艇の影から現れたなら。
「?!う、うにゃぁ?!」
押し倒していたアビーを片手で掴み上げては、そのまま投げ飛ばす。
小石を投げる様な、軽い感覚で、投げつけてくる。
「う、うにゃぁあああああああああ!!」
「!アビー!!」
俺は、咄嗟に動き、彼女をキャッチするように体を広げた。
「ぐぅぅ!!!」
「にゃぁぁ……。あっ、大和ちゃん……。えへへっ。」
《ショックアブソーバー。》
アビーの体がぶつかった時に、盾はして、衝撃を緩和する。
アビーは軽く目を回したが、無事だった。
むしろ、何だか嬉しそうにしている。
《警告!ロックオン!》
「!!」
などと、呑気にしている場合じゃないや。盾の警告にハッとして、身構える。
そのアビーを投げ飛ばした犯人、影になっていた所からやっと姿を現した。
「!」
その姿、全身をアーマー……、鎧……と言えばいいか。
そのような金属の何かを、スーツ状にした物で身を包んでいる。
顔まで覆われており、誰だかは分からないが。
前世で映画で見たような、サイボーグってやつか、それを思わせる。
現れるなり、腕を伸ばしたなら、腕が開き、中から銃口が顔を覗かせる。
……サイボーグかロボットかは、知らないが、らしいや……。
「!」
呑気にしている余裕はないんだった。向けたなら容赦なく発砲してきた。
光の盾を展開して、その場を凌ぐ。
「……。」
反撃として俺は、スフィアを動かし。
マフィンに教わったように、スフィアから直接、光弾を発射させる。
「!」
しかし、弾かれた。
見ればサイボーグは、こちらの光の盾のように。
全身から光の膜を発生させていたのだ。
《危険分子を確認。排除する。》
「!!ぐあぁ!!」
スフィアを使っていないはずなのに、衝撃波が俺を襲う。
見れば、反撃としてサイボーグはスフィアを用いて。
衝撃を発するような動きをしていた。
《警告!ロックオン!ロックオン!!》
「!」
相手は手を緩めない。すぐに追撃に移るようで。
だが変だ。相手は、直接手を下すように動こうとはせず。
そっと両腕を広げただけの、変な構えだ。
《スフィアを展開。敵を排除する。》
サイボーグはそう、無機質に言った。
「!!」
すると、相手のふくらはぎや、太もも、肩のパーツが開き。
そこから光輝く水晶玉が放出される。
スフィアだ。
《警告!ロックオン!!》
《オービタルレーザー。発射。》
「!!」
盾の音声と重なり、サイボーグの言葉届いて。
その瞬間に、沢山のスフィアは煌めいた。
《フォトンシールドオービタル。》
こちらも負けじと、スフィアを放出したなら、俺たちを守るように展開する。
光の束が襲い掛かるものの、こちらの方が上か、弾かれる。
「このっ……!フォトンシールドバッシュ!」
《コマンドを確認。フォトンシールド・バッシュ。》
相手を押し倒す。俺は、咄嗟に言った。盾は応じてくれて、相手を弾き飛ばした。
「!」
その隙に俺は、スフィアを展開、また、腰に付けたレーセに手を掛けた。
《反撃行動に移ります。オービタルレーザー。レーザーセイバー、出力最大で行動。コマンドをどうぞ。》
俺の行動を合図に、盾は反撃の行動をとる。
同じく、オービタルレーザー、スフィアたちの煌めきが強く。
手にして刃を展開しようレーセを持ったなら。
「!」
盾がいじったか、前見た時よりもその出力が高くなっていた。
レーザーとレーセで、反撃を。光の束を纏って、俺は飛び掛かる。
「このぉ!」
咆哮一つ、レーセを振り下ろす。
《レーザーセイバー。》
「なっ?!」
相手も、応じる。
崩れた体勢をすぐに整えたなら。
同じように腰から懐中電灯状の物を取り出し刃を展開した。
同じく、レーセ。
「?!ぐぅぅ?!」
俺の振り下ろしたレーセは、サイボーグに阻まれて。
鍔迫り合いに閃光が目に入り、思わず目を逸らしてしまう。
《シールドバッシュ!》
その鍔迫り合いを回避する、一手、盾は反応して相手を衝撃で弾いた。
《危険分子を確認。排除する。》
にもかかわらず、相手は追撃をしてくる。
レーセを振り下ろし、また、俺は弾くために、がむしゃらに刃を振るった。
「!!うぅぅ!」
刃と刃がぶつかる閃光は、ただ繰り返されて。
目を細めて、辛うじて相手を捕らえるだけで精一杯。
しかし、忘れてはならない、まだ一手があったことを。アビーだ。
打破するためにアビーは、サイボーグに向かっていく。
視界には、彼女の姿は映っていないはずだ。
「にゃぁああ!!」
俺の戦いを見て、判断したアビーは、跳躍。
その手にはレーセ同様の光の刃を迸らせている。
スフィアの輝きと共に、いつか見た、強力な爪撃が放たれた。
《フォトンシールド・オービタル!》
しかし見えていた。
サイボーグは一切アビーの方を向かず、言っただけであり。
それでいて、完全に防御してみせた。
「!!」
隙の無いそれに、ただ驚くしかなく。
このまま、相手に有効打を与えずに、やがてなされるがままになるのか?
いいや。
「ええい!やめんか実験体!早く私を避難させろ!!!外にいるじゃないか、敵がうようよと!!!」
幸か不幸か、狂人が叫ぶ。
その時に、サイボーグは手を緩めて、狂人に注目する。
「!」
隙だ、そう思ったなら。
スフィアを放ち、アビーと一緒に仕掛けるものの。
既に察知しており、対処される。
《フォトンシールドバッシュ!》
「?!うわぁああ!!」
「?!うにゃぁあ!!」
無拍子で言い放たれたなら、相手のスフィアは激しく発光し。
光の膜を炸裂させて、俺たちに衝撃を与える。
堪えることはできず、俺とアビー二人して弾き飛ばされた。
《ショックアブソーバー。》
盾は言う。
「ぐぅ!!」
格納庫の壁に当たったが、衝撃は緩和された。
「!!」
遅れて、アビーが飛んでくる。
……また俺は、上手くキャッチするように両手を広げて。
「ぐぇぇ!!」
「うにゅう……。」
衝撃と共に彼女を抱き締めた。
「……えへへっ。また、助けられちゃった……。」
それでいて、嬉しそうに微笑む。それどころじゃなさそうなのに。
一方の相手側は、脱出の準備をしているようで。
飛行艇のプロペラが稼働し始めていた。
ここら辺に、他に人はいなかったはずだが。
見れば、サイボーグが指さしていることから、奴が操作しているのだろう。
「!」
格納庫の扉を開けて飛び立つだろうと予想していたが、何か違う。
その飛行艇主翼が突然直角に向きを変えたのだ。
合わせて、天井が爆破され、空が露見する。
まさか、垂直に飛び出すつもりか?いや、その通りだ!
狂人とサイボーグ乗り込んだなら、垂直に上昇して。
……だが、疑問。そのまま飛び出ても、総攻撃、ハチの巣になるのは明確なのに。
それでいて、捕虜になることはせず、この手段を採るその根拠は。
「!」
スフィアが放つような光の膜が、その飛行艇全体に展開したなら。
今度は、空間を歪ませるようになる。
消えていく。
そう思わせるようなほどに、彩が薄れ、象りも朧に、つまり透明になって。
ワープ?違う。……光学迷彩の類かな?ほら、アニメやゲームなんかにある。
あれだ。だからで、エンジン音と風だけが残り、それも、遠ざかっていった。
……静寂になったなら、逃げたと理解する。
その時に、呆然と見送るだけで。
「大和ちゃん。」
「?」
ぽつりと、腕の中のアビーが呟く。
すっと、俺の腕から躍り出たなら、手を差し出してきて。
「大丈夫?ケガはない?」
「!」
俺が大丈夫かと聞いてきた。
「……何ともない。ただ、ボーっとしていただけ。……ありがとう。」
そっと頷き、その手を取った。
「そっか。でも、お礼を言うのあたしもだよ。ありがとう!おかげで、ケガ一つないよ!」
いつものアビーの笑顔だ。
その笑顔を見せたのと同じタイミングで、格納庫が騒がしくなってくる。
騒ぎを聞いた、隊員さんたちや、レオおじさんたちが駆け寄ってきたのだ。
「アビー、大和!大丈夫?!」
先頭にマフィンがいて。安否の声を上げる。
「うん!大丈夫!」
「俺もだ。……心配かけてごめんな。」
確認に俺とアビーは言って、手を振って応じた。
「何があった?!……よければ、話してくれないか……?」
その後ろから顔を出した、隊員さん。
いきなりだが、状況を確認するために、言ってくる。
そのために、基地内を奔走していたようだ。
俺は、自身の安否確認さておいて、その隊員さんを向く。
「実は、ここに……。」
……ここ、この格納庫内で起きたこと、全て話した。
「……なるほど。」
頷いた隊員さんは、口元に手を当て、思考。
そっと顔を上げたなら、部隊に報告を上げるために、踵を返した。
「ねぇ、今の話は……。」
マフィンが代わりに寄って来る。
「そうだよ。ただ、何だったのか俺も分からない。だが……。」
詳しくと、聞きたげだが、俺は最後、言葉を濁して。それは……。
「……拉致された人は、結局見つからなかったよ。」
残念な報告という、締め括りだったがために。
そう、ここが最後、調べ切れていない場所だった。
もう、他は既に、他の隊員さんたちが調べつくしており。
最後ここにいないならば、もうどこだか分からないでいる。
つまりは、拉致された人たちの奪還は、ここにて叶わないということだ。
「……。」
締め括られた言葉聞いたなら、マフィンは沈黙し、悲しそうに顔を落として。
「……そっか、いないんだ。」
近くにいたアビーもまた、悲しそうだ。それは、そう。
あの幼子が祈った、帰還への願い。
母親に帰って来て欲しいという願い、叶わない。
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