act9 17:00
最大級のスピードで巨大な頭が三鬼に振り下ろされる。
「しまっ――
三鬼は死を覚悟したが、しかし。
巨大な頭と三鬼の間に鏡が投げ込まれたことによって回避された。
巨大な頭が鏡を造作もなく破壊すると鏡だったものは光を放ち、不思議なことに
gugyagygaaaaaooaaaaoeaaaaooooooaeeaa!!?
「それは神社モドキにあった鏡だ」
鏡を投げ込んだのはツラヌイだった。グレイプニルで鏡をハンマー投げの要領で飛ばしていたのだ。そのツラヌイは言う。
「俺は神道とかあんま詳しい訳じゃないが、その鏡は
gygaaaaaooaaaaoeaaaao!
「助かったわツラヌイ。依代とは
ドドドドドッッッッ!! と一斉に矢と枝が発射され
「今だ『ドラウプニル』ッッ!!」
ドラウプニルが巨大な身体を拘束し、ついに
そこに渾身のミストルティンが
zyahasjidjppppakokaaoekwqqqssddlakgaod!!
そうして、
後に残ったのは、紫の着物を着ている白髪赤眼の少女だけだった。
…。
……。
………。
「ごめんなさい」
ツラヌイの友人が、目覚めて初めて発した言葉だった。
「ごめんなさい、迷惑かけて。嫌だよね、こんな
涙が溢れ出していた。可愛らしい顔が台無しになるくらい泣いていた。
どうすればいいのか、とツラヌイは三鬼にヘルプを飛ばす。ツラヌイは泣いている少女を慰める経験なんて無かった。
しかし、その三鬼が一歩引いた。ここは私が出る幕じゃない、と。口で「と・も・だ・ち・で・しょ」と形を作って少し笑って、聖母みたいな眼差しだった。
――そうだった。眼の前の子はただの少女じゃねえ、ともだちだ。難しく考えるな
ツラヌイは肩の力を抜いて、思ったことを口に出す。
「なあいぶきちゃん、人間ってのは迷惑をかけながら生きてる生き物なんだよ。俺も失敗したよ、いぶきちゃんよりもスケールは小さいけどさ。就職試験とか採用試験って名前でさ」
「……知ってる、しゅうしょくしけん。
「それに落ちたんだよ、三回。それがすげー辛くてさ。なんか、お前はこの世に必要ねぇから!って言われてる気がしてさ。死にたくなった」
「でも、しけん、受かったんでしょ?」
「いいや、そもそも試験なんてしないで今の会社に入ったんだよ。学校の先輩だった三鬼先輩から突然連絡来て、人手不足だから来ないかって言われて。会社に行ったら、雑談して採用!って言われてさ」
「……よかったね。拾う神ありってやつ?」
「うん……、って俺が言いたいのはそうじゃなくて!三回失敗したけど、でもそれは悪いことじゃなかったと思うんだよ。社会の厳しさとか、失敗に対する自分の慰め方とか、嘘を付くことを学んで、ゲームで言う経験値を手に入れて、レベルアップしたと思うんだよ。……ごめん、ゲームで例えてもわからないかな」
「……だいたいわかる。ポコモンGOを
「おおう、そうか……。まぁ、その、結論言うとだな、いぶきちゃんも失敗から学べば良いんだよ。次は力を制御できるように、経験値にしてしまえばいいんだよ」
「でも、
「神様も失敗してるだろ?ほら、
「アイツそんなことやってたのかぁ……」
――そういや
知っている人物が出てきたことで想像しやすくなったらしい、伊吹は納得してくれたようだった。
「まあ、うん、わかったよ。そんな失敗をしているスサノオが、あんなふうになったっていうなら、少しがんばってみる。ともだちの言葉だし」
「ありがとう、いぶきちゃん」
こうして、一人と一柱はほんとうにともだちになった。
これからの世界は、少し色が変わって見えるはずだ。
それは一人と一柱に限った話ではないが。
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