第9話

 あれより、三ヶ月ほど経た現在。



 夕刻に在る。

烏天狗面のものは、小天丸の元へとたかりに

来ていた。もちろん、夕餉である。



「餃子と、野菜炒めに、鶏の唐揚げ」



 そして、烏天狗面のもののテーブルへと出された

ものは、ストレートの紹興酒と黒砂糖だ。



「呀呀呀呀呀♪♪

 分かっておるのうww♪小天丸こてまるよ。

 弟子たるもの、こうでなくてはならん♪♪」



 弟子は、それを聞き、そっぽを向いた。

 気に食わぬ、万感たる思いがあるのだろう。



「師匠。

 いい加減、晩飯どきに来るのやめねーか?

 こっちにも、都合ってもんがあんだよ。

 飯をたかるのも、いい加減にしろ」



 烏天狗面のものが、小天丸を見た。



「良かろう、小天丸。

 では、これより先、報酬は三七で良いな。

 大した仕事もせぬのだ。

 当然よの。

 うぬが、三だ。わしは、これより他所へ

 食いに往くのみよ。金が有れば、どうせ

 飲み食いくらいしか、楽しみのない天狗

 じゃし、多少、恩を売ってから多めに、

 金を渡し、豪遊すれば、天狗のわしとて

 粗末に扱われることはまいて。



 不肖の弟子に受ける扱いよりはのう」




 はっ!?と、した小天丸。

 当然であろう。

 これまで、烏天狗面のものは、さらりと

報酬のほぼ全て小天丸に渡していた。

金目かねめも、ラベルもだ。



 三ヶ月の間にラベルもたまり、小天丸の

身体能力も、目に見えて向上していた。

ようやく、結果も出てきて、心身ともに、

楽しくなってきたとこなのだ。



 ここで、七三は痛い。



「すまねー、師匠。

 全て、取り消させてくれ。

 ほんとにm(_ _)m💦💦すまなかった」



 即座に前言撤回の小天丸。

 これまで、結構稼いでいたのだ。

 それが、恐ろしく大幅に減るのだ。

 まず、素直に謝った。



「あ?

 簡単に赦すわけなかろう。



 その、おそらくじゃが、若い娘受けをw

 狙っておる、つまらんくわい頭を下ろし

 麗しく前髪を垂らして、師匠である儂に

 泣いて、すがるならば…………



 今回は、まあ…………こらえてやろう。



 無言で」



小天丸が、無言で頬をひくつかせている。

小首を傾げながら。












 小天丸が、泣いてすがりついたは……

三分と五秒後であった。



もちろん、無言。



 切々とした表情のままに、はらはらと、

涙をこぼし、泣いてみせた。



 師匠は、ニヤリと笑い、弟子を赦した。



 オプションでつけさせた紅は、これより

先、師匠のいたくお気に入りな罰となるの

だった。



 キラリと尖る鮮烈さと艶麗さが上がる。

 薫リストたちにも、絶賛👍された。



 ブロマイドは、一枚二千円から五万円で

取引され、最高グレートの限定焼物は闇値

で、六十五万円まで付いた。生ブロマイド

で、裏に一言、直筆である。



 ちなみに薫リストたちは、もしも今後、

入手の話が回ってきたなら、一百五十まで

なら即決で出すとまで言い放つバカばっか

である。








 











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快抖 烏天狗丸 煙草のわかば @wacabatabaco

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