エピソード0:タケノコ狩りに行こう。6

  颯爽は言い過ぎた。


 のそのそやって来た。


 というか、気になることを言ってたな。


 「良くやってくれたじゃない!助けてくれ!」


 逆さまで血液が頭に昇って、(いや、実際は下っているのだが)顔を真っ赤にして叫ぶ。


 流石に足首を外してすり抜けなんて真似を出来る様な器用さんじゃぁない。


 「おぉ…大量だなぁ。よし。」


 そんな事を言いながら俺が収穫したタケノコへ一目散に駆け寄った。


 俺を放置して。


 俺の集めた宝物タケノコ目掛けて一直線。


 「おい!俺を助けろよ!タケノコより先に俺だろ⁉」


 渾身の叫び。しかし無視。


 頭に血が昇りながらも、農作物モンスターに捕まりながらも、冷静に 分析した。


 何で俺を助けないのか?


 もしかして、俺は襲われてないのではないだろうか?


 もしかして、俺の叫び、実は聞こえていないのだろうか?


 もしかして、礼儀正しくない助けの求め方に怒ったのかも?






 まぁ、青竹の口の感じから言って、俺を口に放り込もうとしている感じから、襲われているのは明らかだし、大きな声で、もう一回お願いしよう。




 「農家さん!すいません。足を掴まれて吊られているので助けて下さい!」


 いくら相手が耳が遠かろうと聞こえる様な音声で、マイクが有ればマイクが大破するような大きな声で叫んだ。




 俺の集めたタケノコを懐から取り出した袋に詰めていた農家さんはこっちを向いた。


 良かった。気付いた。


















 彼は俺を見て笑った。


 笑ったと言っても、そこに良い意味はない。


 全く無い。




















 「お疲れぇ。もう良いよぉ。」






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