エピソード0:タケノコ狩りに行こう。2

「ここか………。」


町の『千歯扱き』をぬけて出て行き数十分。


大きな竹藪に到着した。






元は公園か、はたまた学校か、はたまたビルの跡地か………元はどうだったかは、最早解らない。


農作物の凶暴性は成長性でもある。


人間が積み上げたコンクリの積木をいとも容易く砕き、自分達の肥料に変え、地図と人の記憶を塗り潰した。








「ここいらの地面ン。あっちとかぁ、そっちとかのぉ地面の盛り上がった部分の土を掘ってぇ、でぇ、鍬で根元から切って収穫ぅ。


あぁ、タケノコが採れなきゃ報酬はぁ無い。」




は?




「オイオッサン…調子に乗るなよ?」


「そうです!募集要綱にそんなこと書かれて無かったですよ!?」


「そりゃ無しだぜ親爺さんよぉ?」


三者三様。不平を露にする。


当然だ。出来高制なんて書かれてなかった。


「当然だぁ、タケノコ0なら払う金はこっちにぃも無い。」


なんたる屁理屈!!誰か六法を持てぃ!!頭に叩き込んでやるぅ!!


「嫌ならぁ、帰れば良い。


まぁ、歩きで千歯扱きまでたどり着くのは無理だぁがなぁ。」


「チッ!!テメェ、俺らにキー獲られて置いてけ堀を喰らう発想はねーのかよ!?」


流石不良!!チンケな脅しじゃぁビクともしない。


「良いのかぁ?農作物の出ない安全な帰り道のルートはぁ、私しかぁ、知らんぞぉ?」


そこまで折り込み済みかよ。下衆の極みのカスめが!!


「落ち着いて下さい!!お二方!」 得物(鍬)を振り上げた二人を諌める学生。


退けよ。安心しろ。ルート案内が出来る位には残してやる。


「彼も別に賃金を払わないとは言っていません。


ここはその鍬でタケノコを狩って帰りましょう。


別に、掘れば支払ってくれるのですよね?」


学生は俺ら血昇り兄弟を止めながら農家に向く。


「あぁ、別にタケノコを持ってくればぁ、それで良いぃ。


多ければぁ色を付けても構わないぃ。」


「ほら、こう言っています。


もし、約束が果たされなければ後で警察に突き出せば良い。


どうでしょう?」




「チッ!!ったよ!!」


「山盛り穫って貴様を破産させてしんぜよう。


首を洗って預金残高を確認しておけぃ!!」


キャラがブレた。


悪い癖だ。


「あぁ、山盛りのぉ、収穫を期待してるぞぉ。」


嫌な笑いで挑発的に手を振る。


見ておけ。破産確定!死告天使だ!!


俺達は三方に別れてタケノコ狩りを始めた。




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