第16話 亡者たち

 建は今、苦しい息をしながら、死の床にある。

 建のもとに、多くの者たちが訪れた。その人々の影をよく見ると、それは建によって命を絶たれた者たちであった。その無数の人影は、なお建を恐れてか、あるいは建を嘲笑しているのか、遠巻きにして近づこうとはしない。そのことがなお一層建を苦しめるのだった。

 ふと、亡者たちの輪が崩れた、とみると、供の者が水差しをもって現れた。

 「王子、お気を強くなさいませ。今、使者を倭につかわしております。まもなく迎えがまいりましょう」

 水差しの水を飲むと、亡者たちの影は消えていた。

 また時間が過ぎた。

 気がつくと、静かなかがり火が手に入った。もしやと思うと、傍らにはあの老人がいた。


 

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