第10話 美夜受比売

 ところで、美夜受比売は、建の見てとったとおり、まだあどけない少女であった。ふっくらとした白い肌、ほんのりと紅い頬と唇。さいしょに建に会ったときには、まだ月のものさえなかったのである。

 だがついに、つぼみが花開くときが来た。

 そのことに気づくと、美夜受は丸い唇をかすかに開き、大きな瞳を見開いた。

 比売は母君のところにおもむき、そのことを告げ、祝いに美しい花を一輪受けとった。咲き初めた花であった。比売は花の香をかぎ、微笑んだ。

 建は東のクニをあらかた平定し、帰路につこうとしていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る