第2話 弟橘比売
小碓には、幼少の頃より仲睦まじかった弟橘比売という女性があった。怜悧で男勝りの気質を有した比売であった。
比売は小碓に忠告した。
「あなたさまのまことの敵は、もっとも身近な者でございますゆえ、ゆめゆめ、熊襲・出雲の猛者たちと律義に剣を交えるようなことはなさいますな」
その言を裏付けるかのように、巫女である倭比売は、小碓に自らの女物の衣を与えた。小碓はそれを持ち、単身西方へと向かっていった。
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