デミウルゴスと幼女と羊

デミウルゴスはとても不本意だった。

なぜ自分がこんな人間ばかりの騒がしい食堂にいるのかと・・・

「何で私まで・・・ここにいなければいけない・・苦痛だ」


「まあまあ、デミウルゴス。人間の食事の調査だと思えば良いのではないでしょうか?」

エビフライを食べているセバスが言う。

「どうしてセバス貴方は、普通に人間が作った食べ物が食べられるのですか!?汚らわしくないのですか???吐き気は感じないのでしょうか??」

豚のエサを見るような目でデミウルゴスが尋ねた。


「以前、潜入調査の際にソリュシャンと共に人間の食べ物を、全く食べないで行動していたら、かなり怪しまれましてね・・・それからは少量でも人間の食べ物は食べるようにしているのですよ。人間の食べ物は意外と美味しいですよ」

エビフライを食べ終えたセバスは、ポテトサラダを食べ始めた。

「くだらない・・家畜はミンチさえ食べていればいいのです。私の牧場では生肉を与えても生きてますよ」

デミウルゴスは、セバスの善良な考え方に少し腹が立った。


「お話し中失礼しますが、ナザリックの羊って生肉を食べるのですか??初耳です!」

ツアレが牧場という単語を聞いて、ワクワクしながらデミウルゴスとセバスに聞いた。


___ツアレは小さい頃、羊を見たことがあった。

たしか飼っている人に聞いたことがある。羊は主に、草を食べるので草食動物であると・・・

セバスからもデミウルゴスの牧場で飼われている動物は、羊であると・・・

・・・おかしいなあ、肉食の羊なんて聞いたことが無い。

もしかして、新種の羊?アインズ様だったら新種の羊を飼育していてもおかしくない____


ツアレは昔を思い出して、いろいろ期待して、素直に思ったから聞いただけなのに、羊について聞かれた二人は対照的な顔をしていた。

セバスは先ほどの穏やかな表情から一転して、少し暗い顔をしている。

デミウルゴスは、つまらなそうな顔から楽しそうな顔に変わっていた。


「人間よ、私の牧場の羊は・・・」人間であるとデミウルゴスが言いかけたところに、セバスが滑り込みで「ツアレ・・実はあの羊は肉食なのです・・・!」と言った。

ツアレは「肉食の羊・・・」とセバスの話を信じた。

(ツアレはセバスの話なら何でも信じるのだが・・・)


うまく話がつながったので、セバスはホッとした。

デミウルゴスは真実が言えなくて悔しいが、これ以上説明は面倒くさいので、次回またいつか言う事にした。


ツアレは「やっぱり!肉食の羊がいるんですね!!」と自分の予想が当たり喜んだ。

そして、幼女はお子様ランチを食べながら、うとうと眠そうだった。


「肉食の羊なんて初めて聞きました!!新種の動物を飼育されているなんて、本当アインズ様は凄い御方なのですね!」

ツアレは羊よりもそれを飼っているアインズ様を褒め称えた。


「そうですとも!かの偉大なる御方、アインズ・ウール・ゴウン様はとても素晴らしく凄い御方なのですよ!!」

デミウルゴスも羊の話より、アインズ様の話が好きだったので喜んで話し始めた。


決して仲良くなるはずがない人間と悪魔が、アインズ様という一つの話題でとても盛り上がっている頃・・・


セバスは、うとうと眠そうな女の子を見て空想をしていた。



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