劇毒龍の毒袋4

 劇毒龍はそこに居た。


 ただ、最も毒の濃い所に居たが故に、毒の中心であったが故に、運悪く上空に迷い込んだ鳥や魔物やドラゴンが毒で死に、この龍の上に死体を積み重ね、文字通り屍山血河ならぬただの屍山を作って隠されていたのだ。


 故に気付かなかった。






 「オ゛オ゛オ゛オ゛―――――――――――――――――――――――」


 劇毒龍から聞こえる声。


 それは何でも無かった。


 腐敗する劇毒龍の体内から漏れ出る毒ガスが排出されるときに喉を通り、断末魔の様な声を出していた訳だ。






 そう、腐敗していた。


 しかし、それでも表面は生きている様であった。








 文献を見ていてタツミンは気付いた。


 何故この劇毒龍は通常と違って土に還らなかったのか?


 変異した。最初はそんな仮定をしたが、ある文献がそれを打ち砕き、ある仮説を作り上げた。








 劇毒龍を倒した勇者。


 彼の討伐記録にはこう書かれていた。


 『戦っている途中に落雷が劇毒龍に落ち、その隙に倒した。』と。


 実際、死体の表面に傷が無い所を見るとそれは真実だろう。


 そこから導き出した彼女の答え。


 「やっぱり………電気で毒が変質しちゃったのね。


 だから体が腐らなかった。」


 電気で体内の毒が変質してしまい、通常の変化が起きなかった。異常な変化が起きた。


 それが真実だった。






 劇毒龍を空間魔法で収納すると彼女はワープゲートを通って塔へと帰って行った。














 「あぁあやっぱり。毒が変質してる。」


 劇毒龍を解剖して毒袋を取り出し、毒性を分析して気付いた。


 毒袋の中身がとてつもなく変化している。


 通常の劇毒龍の毒よりも圧倒的に危険度が増していた。


 おそらく電気が加わった事もそうだが、何より1世紀という本来の劇毒龍ではあり得ない経年が変質を加速させたのだろう。


 「ま、いっか。材料としては面白そう。」


 大発見が趣味で浪費される事となった。






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