150 Last Episode あの花畑で月夜と共に③

 

「それで僕がいよいよ病院を退院するんだよねぇ」

「そこからほんとたくさんのことがありましたよねぇ」


 退院後に急に月夜と接する機会が増えたような気がする。

 行く先々で月夜と会ってたもんなぁ。


「私がいっぱいアプローチしたのに太陽さんが全然食いついてこなくて」

「結構クリティカルヒットしてたよ! さっきも言った通り、月夜のことは昔から好きだったんだから」

「むー。じゃあ今から話す昔話で太陽さんに悪い対応があったら……私にお詫びをしてください」

「お詫びって……何をして欲しいの」

「キスしてください。甘くて、とろけそうなキスです」

「いつもと同じじゃないか」


 じゃあ早速と僕は月夜の両肩を持って顔を近づけてじっくりキスをした。とろけるようにかはどうか分からないけど、ずっと心に秘めていた愛情を解放するように想いをこめた。

 初めて出会ったあの頃からずっとこのようなことを何度も何度も夢見てきたんだと思う。

 キスを終えると月夜は立ち上がって、僕の胸の中に座り込んだ。背中を僕の胸に預ける。これぞ標準状態だ。

 栗色の髪を撫でながら話を続ける。


「じゃあ月夜が悪い点があったら何をさせてくれるのかな」

「え、私、何かありましたっけ」


 結構あったと思うよ。危うく性欲が暴発しそうになったことが何回あったことか。

 あれは月夜の悪い対応だね。


「じゃあ、キスしていいですよ」

「それじゃ月夜へのお詫びになるじゃないか」


 月夜は少しだけ考えると後ろを向いて、見上げた。


「な、なら私のことをこちょこちょしていいですよ」

「じゃあ早速」


 僕は月夜を抱えるように抱いて、そのまま空いた脇腹をぐにぐに揉みほぐした。


「ぎゃああああ! ちょ、は、はやっ! キャハハハハハ、いやぁ!」

「月夜がかわいすぎるのが悪いんだよ~」


 逃げられないように後ろから掴んでわりと乱暴に脇腹揉んでいるので月夜は苦しそうに悲鳴を上げて、笑い狂った。


「ちょ、やはっ! やめぇ! にゃははははぁ!」


 とりあえず僕の気が済むまでくすぐって月夜をヘロヘロにさせた。

 本当に綺麗な声で鳴くよね。この声だけで昼飯をもう1度食べられそうだ。


「本当にくすぐったがりやだね、よくそれでこちょこちょして欲しいだなんて言うね」

「ふ……ふへへ……、で、でも……たいようさんに……こちょこちょされるの……好きぃ」

「やっぱりえっちな子じゃないか」

「ち、違いますぅ!」


 月夜に力が戻ってきた。

 月夜の脇の下あたりを人差し指でほじるようにつっつく。


「にゃう!」


 やっぱりかわいい反応だ。

 月夜は真っ赤な顔で後ろを向いた。


「昔から超びんかんで、まったく我慢できないんです。くすぐり拷問なんてされたら全部喋りそうです」

「それは面白いこと聞いたな」

「水里ちゃんに拷問されたら、太陽さんにされたえっちないたずら全部喋っちゃいますよ」

「ちょっと待って、それ拡散されて、僕の性癖が全員にバレるフラグじゃないか」


 なんてこった。月夜と身も心も結ばれた果てにはあんなプレイやこんなプレイをやろうと思ってるのに……、

 ちょっと考えた方がいいな。


 話を戻そう。確かに退院したあの日……。病院の前で月夜が待っててくれたんだっけ。


「快気祝いのベゴニアってやっぱり……」

「ええ、花言葉に片思いがあるんですよ。でもよくベゴニアを見て想像つきましたね」

「今だから言うけど、あの時トイレに入ってると外から月夜の声が聞こえたんだよね。僕のことが好きかもしれないって」

「ええ!?」


 再び月夜が慌てて後ろを振り向く。


「あの時は親愛なのか、恋愛なのか分からなかったから相当悶々したよ」

「う、嘘……聞かれてたの?」

「だからそれから月夜のアプローチが増えたから……もう悩んだね」

「あの時初めて、海ちゃんや木乃莉に相談してたんですよ。まさか漏れてたなんて……」


 あの時に世良さんと瓜原さんは月夜が僕を好きだって知ったのか。


「でも月夜は今ほど僕を好きではなかったよね? 手を繋いだりするのも躊躇してたし」

「あの時は恋したばかりでしたもん。本当に恋をしてたかも分からなかったですし、でも契機はありましたね」

「契機?」

「妹ちゃんから月夜に変わった時です。ゲームセンターでエアホッケーした時はよく覚えてます」


 エアホッケーの戦いに負けてそれから月夜って名前で呼ぶようになったんだよな。

 今となってはあの妹ちゃんに拘ってたのが馬鹿らしい。


「太陽さんって私の胸元ばっかり見てましたもんね」

「ば、バレてたの!?」

「目線って分かるんですよ。ゆるい服着てた私も悪いんですけど……」


 そっか……月夜の育った胸元についつい目がいってしまってたからなぁ。今日の白のワンピースもゆるくはないが、しっかりと胸元が……。


「ってもう、上から見ないでください」


 ならば……、僕は後ろから月夜の胸を揉みしだく。


「こっこらっ! えっちだぞ!」


 この圧倒的ボリューム。かわいくて胸も大きいとか好みすぎる。

 でもこんなこと恋人じゃなきゃ絶対出来ないな。しかし未だ生で触ったことないんだよな。早く身も心も結ばれたい。

 たっぷり揉ませてもらったが服や下着の感触が邪魔をする。

 このぐらいにしておこう。あまりやり過ぎると盛ってしまう。

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