066 体育祭①

 

 11月が始まってまもなく恒宙こうちゅう学園体育祭が始まった。

 この学園の体育祭は縦割りで各学年2クラスずつ赤、青、白、黒組計4つに分かれて競う。

 僕のクラスは赤組で定番の赤のハチマキを付けて、1、2、3年計6クラスが組んで戦うのだ。


 各組、体育祭実行委員の誰かが団長となるのだが、赤組は何と2年生が団長となった。

 赤組団長の北条火澄ほうじょうかすみさんは大会開始の音頭を取る。


「よーーーーし、赤組優勝するぞーーーーーっ!」

『おおーーーーーーー!』

「副団長、掛け声」

「はぁ……。気合いれろー」

『お……おお~』


 副団長、神凪星矢に何の覇気もない。

 学園祭でミスター・コンテスト1位、カッコイイ衣装で1年生の劇に出演したこともあり星矢のイメージは以前に比べていいものになっている。

 あんなに恐れられていたのに声をかける人も増えた。

 だけど……本人の性格が相変わらずアレなので……結局友人は増えないんだよな。


 さる事情により、北条さんに副団長にされた星矢はローテンションで声をあげた。

 といっても北条さん自体がボーイッシュかつ綺麗な女の子というのもあり男子、女子問わず人気だ。夏の硬式女テニの全国大会で準優勝したこともあり、校内的な知名度も高い。

 単純な見た目だけでいえば星矢と北条さんの組み合わせは見ていて安心できるものがある。


「お兄ちゃんは応援団ってガラじゃないですからね」

「でも友人としてこーいうのに星矢が参加するのは見ていて楽しいけどな」


 ただの赤組団員である月夜と僕は近くで様子を見ている。運よく、月夜のクラスが赤組だったため、親しい友人皆同じ組となった。

 みんな団結して勝ちたいよね。


「太陽さんは陸上部の本領発揮ですよね~」

「転ばない程度にがんばるよ」


 今日は動くこともあって、月夜はポニーテールで髪をまとめている。マジポニテかわいい。

 隣で月夜と喋っているといろんな所から視線が来るような気がする。月夜を見ているのか、僕を呪い殺そうとしているのか。

 月夜と接することが多くなって3か月か……。また成長して綺麗になった気がする。毎日のように告白もされてるし、この前の学園祭のキャンプファイヤーで1度に20人から告白されたことは前代未聞の話だろう。

 僕はそんな月夜に好意を抱かれている。いや、あの夜のことは忘れないと……。なかったと言ってしまったんだから。


 一番面白くなるのはやっぱり昼一の応援合戦かな。団長、副団長主催で頑張るし……。その後は僕と月夜が頑張る文化部部活動対抗リレーだ。

 陸上部じゃなく、家庭科部の助っ人としていくのが面白い所だね。


 各個人競技を行い、得点が積まれていく。赤組は2位とそこそこの位置だ。

 やはり各クラスの体育科が強い。元々運動するために生まれてきた人間だから例え他種目であっても1位を手に入れてくる。

 僕達のグループでは北条さんと世良さんだけだが、特進科のくせに短距離で体育科をぶち抜くやつらもいる。

 神凪兄妹や九土さんなんかは完璧超人ゆえに何でもこなしてしまう。星矢なんか短距離選手の僕より速いんじゃないかな。


 そんな完璧超人のおかげで1位と10ポイントまで追いついた所でお昼休憩となった。


 お昼は自由に食べるんだけど……。


「星矢くん、お茶飲む?」

「神凪、ティッシュを取ってくれ」

「神凪さん、お皿を頂けますか」

「星矢、お手拭きは準備しているぞ」

「星矢さん、これ……どうぞ」

「せーちゃん、ひーちゃんがアーンしてあげるね!」


 このグループ、ハーレム臭強くない? 口々に言うせいで誰が喋ってるのか分からなくなってる。

 こう考えてみると男女比2:8のグループは脅威だなと思う。6人の女に囲まれてる、男神凪星矢。そして外野である僕と月夜と世良さんは少し離れて食事をとる。


 星矢を囲む6人は皆見た目麗しい。赤組男子の嫉妬なんか羨望なのか……よく分からない視線がいたい。同じようにかわいい月夜と世良さんと喋ってる僕にまで視線を向けるのはやめてほしい。

 僕はモブで結構。


「こう見ると星矢先輩ってやっぱモテるよね」

「でも最近は星矢に告白する人は減ってるらしいよ。先週は1人だけだったらしいし」

「え、何でですか?」


 側にいる肉食女子が強すぎるからだろう。月夜も逆ハーレムを作れば告白される量も減るのだろうか。

 ……それは見たくないな。

 ふと星矢と目が合う。目で分かる。助けてくれと言っている。嫌じゃ死ねと目で伝えておいた。

 星矢のごはんは取り巻きの女の物だった。当たりが6人中1人分しかないのが見ていて面白い。水里さん以外の女の子ってみんな料理下手だったのか。あんな残ぱ…‥料理をあーんさせられるのはきついな。

 対する僕達3人は超美味しい月夜のごはんにありつける。


「月夜の料理、また美味しくなったねぇ。何か変わったの?」

「そうかな。変わらないと思うけど」

「好きな男でも出来たか」

「ブホッ!!」


 世良さんと月夜のやりとり、世良さんは絶対にわざと言ってるのだろうからたちが悪い。

 こういう女の子達の会話ってまざりにくいよね。月夜はむせて、息を止められない。


「先輩もしっかり味わって食べなきゃダメだよ」

「あはは……そうだね。月夜の料理なら毎日でも嬉しいよ」

「もう結婚したら?」

「ゴホッ!」

「世良さん、少し止めてあげなさい」


 翻弄される月夜もかわいいが、可哀そうなので助けてあげることにした。ゲテモノ食わされて青い顔している兄貴の方はどうでもいいので放っておくことにした。

 応援合戦を経て、僕にとって大事な部活動対抗リレー戦が始まる。

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