3月9日 雨 「カトリーヌちゃん失踪の真相」

3月9日 雨


「まぁ!まぁ!カトリーヌちゃん!?良かったわ!?無事に戻ってきたのね!!」


大広間で私達を出迎えてくれたマダム・ザマスーヌ様は、カトリーヌちゃんを見るや私からカトリーヌちゃんを受け取って嬉しそうに抱きしめる。当のカトリーヌちゃんは喜んでるのかどうか分からない顔でふてぶてしい態度で抱きとめられている。まぁ、あの強烈な匂いがあって逃げないなら喜んでるの……かな……?


「さて、それじゃあ……カトリーヌちゃんが毎回失踪した原因をご説明させていただきますね」


「えっ?あっ!そうだったわ!すっかり忘れてましたわ!」


いや!?忘れないでよ!?家族が戻ってきて嬉しいのは分かるけど!!?とりあえず、私は咳払いを一つすると


「カトリーヌちゃんが失踪した原因……それは…………アレです!!」


私が大広間にあるソレを指差す。すると、カトリーヌちゃんは……


「ゲコゲコゲコ!!?」


ここに来て初めて鳴き声をあげ、カトリーヌちゃんはマダムの腕を飛び出して逃げ出す。が、こうなるのは最初から分かっていた。だから、レイがすぐにカトリーヌちゃんの周りに簡易の魔力檻を作って逃げ出さないようにする。


「ごめんなさい。カトリーヌちゃん。また怖い想いをさせてしまって……」


「どういう事ですの!?カトリーヌちゃんは何故アレに怯えてるの!!?」


「当たり前ですよ。だってアレ……金の蛇の像じゃないですか……カエルにとって蛇は天敵なんですよ」


そう。カトリーヌちゃんが毎回失踪していた原因。それは……大広間に置かれた金の蛇の像だった。最初にここに訪れた時に一番目立っていたから、カトリーヌちゃんがカエルと聞いてまさかとは思っていたけど、本当にその通りだった。


「そんな!?どうして!?こんなに愛らしい姿をしているのに……」


うん。マダムの趣味って本当にどうなってるんだろうか?


「ですが、カエルにとって蛇が天敵なのは事実ですし、結果としてこのように怯えています。ですので、思い切って処分するか、別のカトリーヌちゃんが通らないような場所に設置する事をオススメします」


「わ……分かりました。カトリーヌちゃんが絶対入らない倉庫に置くようにいたしますわ。カトリーヌちゃんの失踪の原因を突き止めてくださって本当にありがとうございますわ!」


こうして、私の初依頼は無事解決した。後日聞いた話、マダムは早速金の蛇の像を倉庫に移動させ、カトリーヌちゃんが失踪する事はなくなったとか。ただ、金払いのいいマダムからの依頼が一つ減ったとレイは嘆いていたが……















「カエルの知識も深く!慈愛に満ちたあのお姿!!やはり!あの方こそ!私のお姉様だわ♡♡」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る