3月9日 曇り 「カトリーヌ」
3月9日 曇り
マダム・ザマスーヌ侯爵様に案内され、屋敷の中に入って行く私達。中に入るとそれはもう金で統一された品々で、私は目がチカチカしそうになった。
私が前に住んでいた屋敷も、確かに豪奢で金の物をいくつか飾ってはいたけれど、正直ここまでじゃなかった……もしかして、マダム・ザマスーヌ様は……言ったらダメだけど……成金趣味貴族というやつなのかしら?
「成金趣味というか、マダム・ザマスーヌ様は金の物が好きみたいだよ」
はぁ〜……なるほど……金の物が好きで集めてる感じなのね……
「後、マダム・ザマスーヌ様が使ってる香水も中に大量の金粉が入ってるみたい」
それって香水として機能してるの?とりあえず、私達は応接間に案内され、その椅子に座る。良かった……ここは金の物は少ない……助かった……
「依頼受けてくださりありがとうございます。初めての娘もいるみたいだから、改めて挨拶させていただきます。私がマダム・ザマスーヌ侯爵でございますわ」
マダム・ザマスーヌ様がそう言って私に挨拶をしてくださったので、私も慌てて礼を返す。それにしても、冒険者の私達にこんな風に頭を下げてくれるなんて……それだけこの国では冒険者が頼りにされてるのね。
「レイさんとは、何度か依頼を頼んだ間柄でございますのよ」
「ん」
うん。なんとなくそれは察していた。きっと報酬額がいいからだろうなぁ〜……
「けれど、レイさん。何で今日はこの依頼を引き受けたのかしら?以前レイさん指名で依頼したら、他のしんじにも依頼受けさせたいと、ギルドの方に指名をお断りされましたのに……」
「それは、私が初めて組んだここにいる娘が、まだ新米だから特例で許可された」
「まぁ!そういう事でしたのね!」
そうだったんだ……私も初めて知った事実なんだけど……まぁ、レイみたいな高ランク冒険者に、ずっと低ランクの依頼させる訳にもいかないか……
「という訳で、エリス。依頼は貴方がすすめて」
「えっ!?私が!!?」
「私はあくまでこの依頼ではエリスに何があった場合のお目付け役という形でこの依頼を受ける事が出来たから」
まぁ、そうか……そうなるよね……とりあえず……
「その……まずお伺いしたいんですが……カトリーヌ様とは娘さんでしょうか?」
「いいえ。残念ながら私に娘はおりませんの」
ん?名前からして人間かと思っていたんだけど……あっ!そう言えば、レイが迷子って言葉に疑問視していた!という事は……
「もしかして、飼っている犬や猫でしょうか?」
「いいえ。家族と思ってるので飼っている表現はやめていただきたいのですが、とりあえず、犬でも猫でもございませんわ」
うっ!?今のは心証を悪くして失敗だったかも……けど……犬や猫でもないって……
「エリス。あそこにカトリーヌちゃんの肖像画がある」
私はレイが指をさしてそう言ったので、その肖像画を見てみると……
「んなぁ!?か……カエルぅ……!!?」
その肖像画に描かれていたのは、これはもう分かりやすいぐらいカエルだった。
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