3月9日 曇り 「初めての依頼は……」
3月9日 曇り
さて、随分と長くなった気がするけれど、今日から私の初めての冒険者としての活動だ!頑張らないと!
「それで、依頼ってどうやって受けたらいいの……?」
今更ながらそんな初歩的な事を忘れていて、レイに呆れられるのではないかと思い、恐る恐る聞いてみると、レイはいつもの無表情で
「ん、本来ならギルドの掲示板にある依頼書から、自分のランクで出来そうなのを選んで、受付のミリアに受理してもらう形になる。けど、今日はもう私が私とエリスで出来そうなのを選んで受理してもらった」
レイはそう言って一枚の紙を私に渡した。うん。こういう点も含めて、新米冒険者のソロ活動はダメなんだと実感した私……まぁ、こんな初歩的ミスするのは私だけなんだろうけど……トホホ……
まぁ、とりあえず私はレイに渡された紙を確認した。
『依頼ランク青銅級
依頼主:マダム・ザマスーヌ侯爵
私の可愛いカトリーヌちゃんが先日から行方不明になってるの!?誰でもいいから探してちょうだい!!?』
と、書いてあった。う〜ん……文面からも依頼主が強烈なキャラだというのがよく分かるんだけど……って言うか……
「依頼内容って迷子の捜索なのね。魔物退治だけかと思ってたんだけど……」
私の完全な偏ったイメージだけど、冒険者の主な活動は魔物退治だと思っていた。
「ん、まぁ、迷子と言えば迷子か……別に冒険者は常に魔物退治だけが仕事じゃないよ。こういう小さな仕事から、遠くにある山の薬草の調達や、鉱山から珍しく鉱石を採掘してとか様々にある」
なんか最初に言った言葉が気になるけど……とりあえず、冒険者の仕事は多種多様にあるのね。
「とりあえず、マダム・ザマスーヌ様は、悪い人じゃないのは確か。ちょっと色々強烈な人ではあるけど……何より報酬額が多い」
レイは指でお金のマークを作ってそう言う。案外、レイってお金に執着してるわよね……結局、先の件のも、すでに町の人から報酬貰ってるのがミリアさんに漏れてて、ただ、一応相手が想定外の魔物だったから、想定外手当みたいな感じで貰えたけど、予定より貰えなくて無表情だったけどガッカリしてたみたいだし……
「まぁ、とりあえずマダム・ザマスーヌ様には何回か私も依頼受けてるし。とりあえず話を聞きに行こう」
「そうね。そうしましょう」
私はレイの案内の元、ポルサノ王国の貴族街区に向かった。そのポルサノ王国の貴族街区で私は驚きの光景を目にした。
「貴族街区って聞いていたけれど……こういう言い方はアレなんだけど……平民っぽい人の姿もいるのね……」
貴族街区というだけあって、周りの家々は豪奢な建物ばかりだが、行き交う人々は貴族らしい人物や、平民と思われる人々、様々な人がいるように感じた。
「ポルサノ王国の貴族は冒険者稼業の貢献で成り上がってきた人が多いから、貴族って言っても、元平民の人が多いから、それらの友人がよく尋ねてくる事が多い」
「なるほど……そうだったのね……」
ウィンドガル王国も、平民と貴族が仲違いしてる事はないんだけど、稀に貴族で傲慢な人もいたせいで、平民の人は出来るだけ貴族の方を敬遠していたように感じていたから、ポルサノ王国のようなこの感じは私には衝撃的だった。
「エリス。着いたよ」
貴族街区をキョロキョロ見回しているうちに、いつのまにか目的の場所に到着していた。そこは、私が元いた屋敷並に傲慢な建物だった。レイが早速近くにいた従者らしき人に話しかけ、「しばらくお待ちを」と言われ、待っていると……
「レイさん!!待ってたわぁ〜ん!!!」
屋敷から現れたの物凄く……その……ふくよかな……ちょっとだけ化粧と香水が濃い……とりあえず、レイの言った通り色々強烈な人物が現れた。
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