3月8日 晴れ 「冒険者ギルド登録」

3月8日 晴れ


私達は数時間経過してようやく冒険者ギルドにたどり着いた。

いや、本当は数時間もかかる距離じゃなかったのだけど、私があまりの物珍しさにあっちにこっちにと見て回っていたらこんな時間に……うぅ……レイは無表情で無反応だったけど、きっと呆れられたわよね……トホホ……


とりあえず、気を取り直して!私達は冒険者ギルドの門を開ける。


「いらっしゃいませ!」


いきなり綺麗な受付らしいお姉さんに出迎えられて私はビックリしてしまう。いや、ほら、冒険者ギルドって危険な仕事だから、冒険者は男性ばかりのイメージだから、ギルドの中は男性ばかりかなぁ〜って……まぁ、よく考えたらレイはれっきとした女性吸血鬼なんだけどね……


「あっ、レイさん!依頼を達成されたそうですね!報告はあがってますよ!」


「流石はミリア。仕事が早い」


レイにミリアと呼ばれた受付嬢がニコニコ笑いながらレイに話しかけ、今度は私の方を振り向く。


「そして……そちらが今回のレイさんの依頼に協力してくださったエリスさんですね。初めまして。私は、ポルサノ王国冒険者ギルドの受付をしてるミリア・マリエルと言います。お見知り置きを」


「は……!初めまして……!あの……どうして私の事を……!?」


「こういう仕事は情報が大事ですから」


にこやかな笑顔でそう言うミリアさん。情報が大事か……となると……もしかして……私の事も……私のそんな表情で察したらしいミリアさんは……


「すみません。レイさんと一緒にいるという事でこちらもあなたの身元を調べました。ですが安心してください。こちらとしては、あなたにこれ以上とやかく問う事もしませんし、今後も「エリス」さんとしてやっていきたいのなら、こちらもそのように登録させていただきますよ」


「……ありがとうございます」


私の事情を知って、それでも受け入れてくれると言ったミリアさんに不覚にも涙が出そうになるのを私はグッと堪えた。そんな私を見てミリアさんはニッコリ笑顔を浮かべ


「では、もうすでにエリスさんの冒険者登録は済ませてますので、こちらがエリスさんの冒険者証になります」


「ちょっ!?いくらなんでも早すぎませんか!!?」


私「エリス」の名前が彫られた青銅のプレートをミリアさんから渡されて驚愕する私。


「先程言ったように冒険者ギルドでは情報が大事ですから。それに、こういう仕事ですから、人手は沢山欲しいんですよ」


ニッコリ笑ってそんな事を言うミリアさんに、私は「はぁ……」と答えるしか出来なかった。

そして、私の冒険者証をよく見てみると、パーティー欄に何故かレイの名前が……


「あの……すいません……このパーティーってところにレイの名前があるんですが……」


「あぁ、その説明を忘れてましたね。パーティーというのは……」


そう言ってミリアさんはパーティーについて私に説明し始めた。

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