3月8日 晴れ 「ポルサノ王国入国」

3月8日 晴れ


よくよく考えたら……私、ウィンドガル王国以外の国に来るのは初めてじゃないかしら?私はあまりの物珍しさにキョロキョロと周りを見回す。


「エリス。初めて大きな国に来た田舎者みたいだよ」


レイにそう指摘され、確かにその通りだと思い、私は恥ずかしさのあまり俯いてしまう。その間に、レイは門番に話しかける。


「ダックス。戻った」


「ん、レイか。依頼は達成したのか?」


ダックスと呼ばれた門番の兵士がレイにそう聞いた。この人、犬耳が生えてる……狼族の獣人かしら?


「当然。私を誰だと思ってるの?」


レイはそう言って無表情ながら若干偉そうな感じに胸を張る。それを見たダックスさんが苦笑を浮かべる。


「まぁ、そうだろうな……ところで、そちらのお嬢さんは?」


ダックスさんが今度は私の方を見てそう尋ねてきた。


「彼女はエリス。冒険者になりたくて旅の途中みたい。今回の依頼も手伝ってもらった。色々問題はあるけど実力はあると思う」


レイの「色々問題がある」発言に思わず胸がグサリと刺さる感覚を味わう私。うぅ……早く魔力コントロールを覚えないと……


「へぇ〜……あのレイが褒めるなんて相当な実力なんだなぁ〜……」


ダックスさんが感心したようにそう言うが、私的にはあまり褒められた気がしないんだけど……


「まぁ、レイが認めてるなら身分的にもいいだろう。ようこそ。あらゆる種族が暮らす「ポルサノ」へ。君の旅路に幸多からん事を」


ダックスさんはそう言って私とレイを国へ入れてくれた。

こう言ってはなんだけど、こんなあっさり入れていいのかしら?それだけレイがこの国で認められてる証なんだろうけど……


「さぁ、まずは冒険者ギルドに行こう」


「えぇ」


こうして、私はレイに案内され冒険者ギルドに向かった。




この時の私は、今後この国でどうやっていこうかで頭がいっぱいで、私達をジッと眺めている存在に気づかなかった……


「あぁ!!やっと見つけた私の麗しの素敵なお姉様♡なのに……!なのに……!!許すまじ……!あの…………」

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