3月2日 洞窟内 「剣」

私が放った雷の魔法が数匹のオーク達も巻き込んでオークキングを直撃。直撃を受けたオークキングは至る所黒焦げになって、呆然と立っていたけれど……


ブオォォォ〜ーーーーーーーーーーーー!!!!!


怒りの感情がこもったような咆哮をあげるオークキング。そんな……あれだけの威力でも倒れないなんて……どうしようもないと思っていたけれど……


「これでお終い」


レイが無表情で左手でオークキングの首を吹っ飛ばし、オークキングは首を落とされ絶命した。オークキングが呼び出していたオーク達も、オークキングが倒されたこにより消滅した。


「ありがとう。エリス。おかげで助かった」


「あっ……いや……そんな……私は特に何も……」


無我夢中になって雷の魔法を放っただけで、よくよく考えたら全然冷静な判断による攻撃じゃなかったし……


「けど、放つならもうちょっと考えてから放ってほしい。防御が間に合わなくてこんな感じ」


「うぐっ……!?」


レイが右手を私に見せると、レイの右手はオークキング同様に若干黒焦げになっていた……これは……言い訳出来ない……


「という訳だから……いただきます」


「へっ!?いや!?ちょっと待って!?今魔法使ったばかりで魔力数値が……!?ッ!!?たぁぁぁ〜ーーーーーーーーいッ!!?」


しばらくお待ちください……


「うん。元気回復。右手も元に戻った」


「そう……それは良かったよ……」


レイは先程オークの群れに少しだけつけられた傷や、私が黒焦げにしてしまった右手が、全て消えて無表情だけど本当に元気いっぱいという感じだった。

反対に私は、血と魔力を吸われ、魔力数値がなくなりフラフラだ。なんとか残ってる意識を保ちながら、エーテルを飲む。


エーテルで魔力数値を回復した瞬間……強烈な耳鳴りがした。


「えっ!?何!?何なの!!?」


「?どうしたの?エリス」


不思議そうに首を傾げるレイ。どうやらレイにはこの耳鳴りはないらしい。気味が悪いとも思ったけれど、何故かそれは私を呼んでるような気がして、私は洞窟の最奥の岩壁に触れる。


すると……


ゴゴゴゴゴゴォォォ〜ーーーーーーーー!!!!


「えっ?」


「隠し通路……まさかこんな洞窟にこんなのがあるなんて……」


レイも無表情ながらも驚いている様子だった。私は再び耳鳴りの音に誘われるように奥へと進む。レイに制止の言葉をかけられた気がするけれど、私は気にせず先に進み……


「これは………………剣?」


数m歩いた先に、一本の剣が床に突き刺さっていた。

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