3月1日 晴れ 「少女の正体は……」
3月1日 晴れ
前回のページの続きになるけれど、私は倒れている少女を発見、その少女を介抱しようとしたら、いきなり首筋に牙を突き立てられ、その後は……
「んぅ……!?あぁ……!?ふぅん……!?」
痛かったのは牙を突き立てられた一瞬だった。その後は、何かを吸われてる感覚があり、それが何とも言い難いような感じがして、思わず私は変な声をあげてしまう。
「んむぅ……んぐぅ……これは……!ビリビリと刺激的で……!超私好みの味……!」
その少女は立ち上がってそんな事を言ったけれど、表情が無表情なので、あまり嬉しそうな感じがしなかった。あっ、でも……若干だけど目がキラキラしてる?
「あなた……!?まさか……!!?」
が、私は彼女に詰め寄ろうとしたが、いきなり魔力数値が少なくなった時の脱力感に襲われ、思わずその場でへたり込んでしまう。ちょっ!?まさか!?今ので魔力数値まで吸われたの!!?
しかも、最悪なパターンは重なるもので……
『ブヒィ〜ーーーーーーーー!!!!!!』
「なっ!?オークの大群!!?」
この辺の魔物はやたらとオークが多いとは思っていたけれど、まさか大群で、しかも私達が雌と理解してか、こっちに突進してきている。オーク1匹1匹は大した戦闘力はないけれど、それが集団で来たら厄介極まりない。おまけに、今の私は魔力数値切れの虚脱感に襲われているし、最悪としか言えない状況だ。
「あなた……!?早くここから離れましょう……!?」
私が少女にそう声をかける。いくら私がこうなった元凶とは言え、放っておく事は出来ない。しかし、彼女は首をコテンと傾げて
「離れる……?何で……?」
「ちょっ!?あなた!アレが見えないの!?オークが大群でこっちに突進してきてるのよ!!?」
「ん、見えてるけど……たかが盛りのついた豚が集団で来てるだけでしょ。あれぐらいなら……」
そう言うと、彼女は人差し指を立ててオークの集団を指差し、そのまま横に一線書くように指を動かした。
すると……
ブシャアァ!?ブシャアァ!?ブシャアァ〜ーーーーーー!!?
オークの集団が、ある者は首を、ある者は胴体を切断されていった。その光景を見て思わず吐きそうになるが、何とか必死で堪える私。そして、胴体や首を切断されたオークの集団は、1匹もこちらに向かってくる者はいなかった。どうやら、全員絶命したみたいである。
「今の……もしかして……人差し指から細い線のような魔力弾を出して切断したの……?」
だとしたら、相当魔法の扱いに慣れている……さっき私から魔力数値を吸った事から考えても、この少女の正体はもしかして……
と、先程少女がいた場所を見たら、その少女は居なくなっていた。よく見るといつのまにか少女は私の目の前にいて、そのまま私の首筋目掛けて牙を……
「って!?ダメぇ〜ーーーーーーーー!!?」
私は虚脱感がありながらも、何とか彼女を突き飛ばす。
「むぅ……何で……豚共を何とかしたんだから、ご褒美ぐらいあってもいいと思う」
彼女は無表情ながらちょっと膨れっ面になって私にそう言った。
「確かに!?オークの集団を何とかしてくれたのは感謝するけど!それとこれとは話が別よ!?これ以上吸われた本格的に倒れちゃうわよ!?だいたい!さっき吸ったばかりでしょ!!?」
「だって、私好みの味だったけど、量は少量だったし……」
うぐっ……!?私の魔力数値が低いのを改めて他人に指摘されてしまった感じがするわね……と、そんな時……
ぐうぅぅぅぅ〜ーーーーーーーーーー!!!!
彼女のお腹から盛大に腹の虫が鳴っていた。このままだとまた空腹で倒れるかもね……けど、私も吸われる訳にはいかなし、ここは……
「とりあえず、近くの町まで行きましょう。そこでご飯ならいくらでも奢ってあげるから」
幸いにも、昔自分が着ていたドレスや宝石などを売って、普通の人よりはお金は持っている。彼女1人ぐらい何とかなるはずだ。
「本当に……!?分かった……!?それなら……」
「へっ?ちょっ!?」
突然彼女は私をお姫様抱っこの要領で抱え、背中からコウモリのような翼を生やし、そのまま猛スピードで飛び出した。
「ご飯〜……!!」
「ちょっ!?待って!?降ろしてぇ〜ーーーーーー!!?」
私の制止なんて耳に入らず、彼女は私を抱えたまま、次の町まで飛んで行った。
その後、町に到着してまた私が吐きそうになったのも……今後また同じ過ちを引き起こさない為に書き記しておく……
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