第18話

勝手場に着くとまぁ、悲惨。なんでこんなに皿は積まれてるわけ?調理器具も手入れされていない。ったく。そりゃあーなるのもまぁうん。いやでもあれはやばいな。さて!

私はたすき掛けをして動きやすくした。

「あのー、とりあえず借りますがあんたら何できます?皿洗いくらい出来ますよね?それとも?そんなものもできないんですか?あ、もちろん山南さんは違いますよ?山南さんって料理出来ますよね?ちょっと手伝ってくれません?」

私はわざと煽るように言った。2人がやる気になるように…。

「「はぁ!?できるし!やってやらぁ!」」

んふふ、作戦成功♪

「どーだか。んじゃあ、あっちの井戸でそこに積まれてる食器、ぜーんぶ洗ってきて?俺と山南さんが作り終える前に♪」

そう言ってさっさと行かせた。意外と素直なとこあんじゃん。…京とは大違いだね。

「よし!山南さん!作りましょ!とりあえず卵焼き、鮭のフレーク、お味噌汁、炊きたてふっくらご飯でいーですかね?」

「卵焼きとお味噌汁、ご飯はわかりますが鮭のふれーくとは?」

「あー、鮭のそぼろみたいなやつですかね?」

「なるほど。何が必要ですか?」

「えと、まず卵焼きには卵と醤油、砂糖と塩でしょ?お味噌汁は出汁とって、まぁ豆腐とワカメ。んで、ご飯はまぁちゃちゃっと。最後に鮭は焼いてから解してごま油と油でちゃちゃっと、炒めるって感じです。なので、ご飯とお味噌汁任せてもいいですか?」

「もちろん。さ、始めましょう。」

そうして始まった。山南さんの手際はとても良く、直ぐにご飯の準備は出来てしまった。ま、しばらく浸しておかないとなんだけどね。その間に出汁をとっていたので多めにとってもらい、分けてもらった。

「なぜ出汁が?」

「後でのお楽しみです♪」

私も取り掛かった。

私は鮭を焼いて同時進行で卵を解き、そこに出汁を加えた。そしてよく混ぜ、フライパンのようなものに流し込んだ。もちろん、鮭を見ながらだ。山南さんが鮭を見てくれると言うのでお言葉に甘え、見てもらったが…。卵焼きは最初は菜箸でちょこっと解し固まってきたらそのまま焼いて丸めていく。それを繰り返すうちに綺麗な四角の卵焼き完成〜。

その頃いい具合に鮭が焼けたのでいったんまな板にうつし、解す。それをまたフライパンのようなものにうつしごま油とごまで香り付けしながら炒めていく。ん〜。いい香り♪

その間に山南さんはお味噌汁を準備。

「おい!水樹!皿洗い終わったぞ!」

「うるさいですよぉ、土方さん?水樹さん、終わりました!これからどうすれば?というかとてもいい匂いですね!」

うるさいの2人帰ってきちゃったよ。ま、いっか。今んとこ30分も経ってないし…。

「ん、ありがとうございます。ではご飯炊けるまで隊士の方々をどうにかしといてください。あ、稽古つけといてくださいよ。疲れた体にいいと思いますので。」

「な、なんか、水樹さん変わった?」

「はて、なんことやら。ま、土方歳三よりは貴方の方がいいんですよ。」

「へ!?どゆこと!?」

「さぁ?とにかく行ってきてくださいな。」

「わかりました!!」

さっさと出ていく沖田総司。土方歳三なぜ残る。

「てめぇ、俺の方が上だぞ!?なんで総司だ!」

「ッチ、うるせぇな。あんなぁ、てめぇ邪魔。早くどっか行けや、このやろう。」

「水樹さん?そういうの良くないですよ?ほら、鮭焦げますよ?」

「あ!!!ちょ。ちょ、!」

「ったく。お前なぁ…。ま、頑張れよ。俺らを楽しませろ。」

「死ね。つか何その上から。てめぇのだけ毒入りにしとくわ。」

「んだと!?てめぇな!」

「はいはい。2人とも?そろそろ怒りますよ?」

そういい山南さんはメガネに手をかける。

「さ、山南さん。あの、お米…。」

「っ!?あ。まって!まてまて!!」

「まぁ、蒸らしておくんで大丈夫ですよ?」

お米も炊きあがり、お味噌汁も出来た。卵焼き、鮭のフレークも出来たが今稽古出たばっかならまだまだか。なんかつくろ。

「山南さん。他に作るとしたら何がいいですかね?」

「そうですねぇ。あ!たくあんと漬物あります!」

「あ。ならいっか!!」

とゆー事でご飯再開。もちろん食べたい奴だけ食べればいい。そう思って適当にしていたらみんな食べる食べる。びっくりだわ。しかもギャーギャー喚きながら、泣いてる奴もいる。そして、

「「「水樹ぃ!!ありがとなぁぁぁ!」」」

口を揃えて言うバカ3人。ほんとばかだな。

「み、水樹さん。こんな美味い食事久しぶりです。ありがとうございます」

そういい、頭をたれるたぶん隊士の方。

「あー、半分以上山南さんが作ったんだよ。俺はその補佐したまで。お礼なら山南さんに言いな。あ、ほんとに感謝してるなら皿洗いくらいはしっかりしろよ?そしたらまたつくるかもしらんぞ?」

そう言って俺は立って部屋を出た。

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