第17話
そう言えば私って、寝るとこなくね?気づいてしまったからにはどーするか。とりあえず、着物置いてある沖田総司の部屋まで行くことにした。にしても、まだ山崎烝は私を見張るのか。山南さんの時は見張ってなかったのに。やはり土方歳三は私の事信用していないんだな。ま、いーけど。
スッ
「失礼します。」
私は沖田総司の部屋に入り寝巻きに着替えた。もちろん、早着替えで山崎烝には見えないように、だ。沖田総司もいないし、さっさと山南さんのとこに行くか。
ん?手紙が無くなってる…。なぜだ?1回帰ってきてまたどこかに行ったのかな?ま、いっか。そして私はまた部屋を出て、今度は誰にも気付かれないように暗殺するように動いた。もちろん、山崎烝もついてこれなかった。
「失礼します」
「どうぞ」
スッ
「来ました!教えてください!!」
私は山南さんの部屋に入りたくさんのことを教えて貰った。ま、百聞は一見にしかずと言うし聞いても分からないこともあるが聞かないよりはずっとマシだ。そのうちに私は寝落ちてしまったらしい。気づけば朝になっていた。
「んー?ここ、どこぉ?」
「クス、おはよう、碧衣。ここは私の部屋ですよ?覚えてません?」
「む?あ、お話したんだ!」
「そうですよ、ほら朝餉の時間です。行きますよ。」
「あ、朝餉だと…?
むり、いらん。まじいらん。」
私は普段もあまり食べないため食べれない。朝昼晩全部食べるとか無理ゲーだもん。
「い、き、ま、す、よ?」
黒い笑みの山南さん。いや、ちょっとまってよ、行かなきゃダメ?
「さ、行きますよ?あ、でもそのカッコはまずいのでこれきてください。」
手渡されたのは私にぴったりの男物の着流しと道着だった。
「えと、これに着替えろと?」
「はい。さ、着替えてください?」
はぁ、仕方ないか、と思い早着替え。
「はい、着ました。」
「よろしい、さ、では髪を整えてから行きましょう。」
意外とめんどくさいのね、新撰組も。
髪も整えいざ出発。
「そうだ、君は総司くんの1番隊の副隊長としてうちに入ってもらうからね?」
「…へ?本気ですか?まって、え?ほんとに?」
「嘘なんてつきませんよ。今日はその自己紹介です。頑張ってくださいね?」
ニヤリとしたちょっと意地悪な笑み。はぁ、仕方ないか。がんばろ。
スッ
「みなさん、おはようございます。今日は私から紹介したい人物がいます。…では、入ってきてください。」
「失礼します。どーも、1番隊副隊長になったらしい、水樹です。」
一応ペコッとお辞儀をした。
つかさ、なんでみんなこんな虚ろな目してんの?ご飯まっ黒焦げだけど?すっごい匂いだけど?沖田総司隊長、土方歳三副長だけが食事に手をつけずこっち見てるけどあとは、その一言で言うと死んでね?どした?
「あ、あの、山南さん。この人たちどしたの?なんか様子が…。」
「いいですか?この世でもあの世のようなことはあるのです。…例えばこの食事のように。」
こそこそと話をする私たち。
「あー、まずいんですね。この世のものと思えないほどに。」
苦笑いしながら言うと山南さんも苦笑いして
「まぁ、そういうことです。元々食べるの難しいならこれは無理して食べなくても…」
「はぁ、あの、山南さん。まだ食材って残ってたりします?」
「それは分かりませんねぇ。新八くんに聞けばわかるかも知れませんよ?」
「わかりました。ありがとうございます。」
私は山南さんから離れて永倉新八の元へ行った。永倉新八は苦笑いしながら食事を見つめている。
「どうして俺たちが作るものってこういつもいつも…」
ブツブツうるせぇな。
「なぁ、永倉新八。食材ってまだ余ってるか?」
「うわぁ!み、水樹くん!え、あ、余ってるよ?さすがにこんなものを作るのにそんなに色々いらないから…。はぁ…。」
「あー、勝手場使うから。使うもの、なんでもいい?卵とか先に使わないといけないものとかある?」
「あー、卵は使って欲しいかな。あとは特に。でも、野菜とかはちょっと萎びてるよ?」
「は?馬鹿じゃねーの。新鮮なもの使えよ。まぁ、いーや。とりあえず借りるわ。」
そう言って私は1人で勝手場に向かっていった。と言っても後ろに沖田総司、土方歳三、山南さんが着いてきているが。
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