第13話
総司side
みずきちゃんが倒れた。原因は確実に私たちにある。私たちがまだ怪我の癒えていない体であるみずきちゃんを無理させて3本も試合をさせてしまったからだ。
「申し訳ないことをした。どうしよう。」
「一くん、今そんなこと言ってる場合じゃないでしょう。とりあえず部屋に運びますね。近藤さん、山南さん、土方さん、いいですか?」
「構わない。連れてってあげて。」
近藤さんが、申し訳なさそうにそう言った。
「はい。失礼します。」
私はこの子をひょい、と持ち上げるとスタスタと部屋に行った。に、しても、軽すぎる。前運んだ時も思ったが今の方が…。って!当たり前だ!ものを食べてないんだから。辛そうな顔をしている。私になにか…。
「ん、…る、い…。」
「っ、」
るい?それはなんだ?人か?この人は、私たちにとって、「敵」ではないにしろ謎な人で信用はできないといろんな人が思っている。だが、私はこの人の事をもう、信用してきている。そうこうしているまに部屋に着いたので布団に寝かせてとりあえず手ぬぐいでも持ってこようかと立ち上がるとみずきちゃんが
「いか、ないで。おね、が、い。ひとりに、しない、で…?」
「っ!?…私は沖田総司ですよ?わかって言ってますか?」
「おき、た?るい?せんせ?どこ?」
いや、まて。るいってやっぱ人か。そして、せんせ?先生の事か?誰だ?分からない。だが、私の事をさしてる訳では無いから、行くことにしよう。そして、報告しなければ。
「大人しく寝ててください。」
「…スー」
寝てますね…。一応報告ですかね。
〜副長室〜
「失礼します」
「総司か。入れ。」
スッ
「って、皆さん勢揃いで。どうなさいました?」
「やれば出来るじゃねぇか。これからもそうしろ。これは、みずきの事だ。お前が来たのもその事だろ?」
「はい。」
なんだ、みんな考えてる事は一緒って?まぁ試合であんなん見せられたらそうなるか。彼女は平助とやってる時と私や一くんとやってる時とは明らかに違った。どちらかと言うと、平助とやってる時の方が辛そうだったが、剣術じゃなくていいか、と聞いてきた彼女は強かった。私なんて手も足も出ないほどに。そして、一くんのときは私の得意技である「三段突き」を鮮やかに的確にしていた。そりゃみんな集まるはずだ。
「みずきくんを正式に新撰組に入れたいのだが、どの隊がいいと思う?」
近藤さんが真剣な顔で言った。
「近藤さん、俺はまだ、アイツを信用してる訳では無い。」
「だがな、トシ。彼女の強さを放っておくことはできない。」
「では近藤さん、土方さん。私の隊、1番隊の副隊長と言うのはどうですか?まず、強いから何とかなるでしょう。そして、私がなにかあったら対応できますから。」
「いい考えだな!そうしよう。みな、どうだ?」
「賛成だ。」
みんな賛成のよう。そして、みんな部屋から出て行き残ったのは近藤さん、土方さん、山南さんそして、私だ。
「そうだ、総司。どうしたんだ?」
「あ、あぁ、みずきちゃん、うなされてて私を介した『誰か』に向かって呼んでたんです。行かないで、と。そして、名前らしきことも言っていました。『るい』『せんせ』と。2人いるんでしょう。誰かは分かりませんが私はまだ名前で呼ばれていないのに…。
コホンまぁ、とにかくそのことを報告しに来ました。ちょっと気分が良くないので行きます。失礼します。」
スッ
私は外に出た。残った3人がこんな話をしてるとは知らずに歩き出した。
「これは、総司の中でもなにか起きたな。じゃないと女に興味のないあいつがあんなこと言うはずないしな。」
「まぁ、私はまた調べておきましょう。では、失礼するね。」
山南が出てく。
「まぁ。今日のところはお開きかな?」
土方、近藤どちらともなく笑いだし、解散になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます