第11話

碧衣side

「土方くん、入っていいかな?」

「あ、どうぞ!」

スッ

「失礼しますね。」

そこには優しそうでメガネかけた男の人がいた。

(多分この人が山南敬助、だな。)

「貴女がみずきさん?」

「どこ情報ですか、それ。まぁ、そうです。」

この人は、土方歳三と並ぶ副長。鬼の副長、仏の副長とはよく言ったものだ。まぁ、私からしたらどっちが鬼で仏だよって感じだけどね。

「本当に申し訳ないことをしました。」

深く謝られるが、この人は今日初めてあった。

「あ、と。えと、初めまして。みずきって呼んでください。俺貴方に何もされてないんで、全然気にしてないです。つか謝られるのに疲れたんでやめて欲しいですね。」

「分かりました。じゃあこれからよろしくね、みずきくん。」

山南敬助は優しく微笑んだ。

「はい!よろしくお願いします。」

私は深くお辞儀をした。この人は、信用出来る。そう直感で思った。

「あ、そうだ、お前、怪我の方はどうなんだ?」

「そうです!こんな、いきなりはダメですよ?寝に行きますか?」

「ほとんど治ったから。もう大丈夫だし。つか、それより上の人が1番目障り。降りてきてよ、ほんといや。」

「!?」

スッ

「なんで、わいに気づいたんや?わい、観察方やで?」

「貴方、観察方向いてないんじゃない?気配が消せてない。わかり易すぎ。音とか工夫しなよ。じゃないと反射で殺しちゃう。」

「な、なんか、わいにだけ当たり強ない?」

「多分、同業者だからじゃない?あんたと俺は気配を消して、相手に気づかれないように殺すこともある。情報収集もする。だからじゃない?」

「あ、曖昧やなぁ!でも、ありがとうな!んじゃ!」

スッ、タタタ…。

あ、消えた。死んだか?ま、いっか。

「つか、土方歳三、俺のもう一振の刀返せ。」

「って、あ!てめぇどうやって見つけた!普通、小刀の方が見つけづらくない!?」

「俺にとって大切な刀たちだから。手放したくない。なんか文句あるか?」

「いや、まぁないけど、」

「うるせぇ、けどならねぇじゃん。もう行っていいか?」

「あ、みずきくん。ちょっとまって。単刀直入に言うが君って強いかい?見た目は言っちゃなんだが弱そうだし…。」

こ、近藤さん。それは、貴方じゃなかったら切ってるよ。確実に…。

「みずきちゃんって、とっても強いんですよ!私見ました!そして、手合わせ願いたいです!」

いや、沖田総司と手合わせはちょっと…。あんた新撰組一二を争うんだろ?俺のはほぼ独学だからやめた方が…。

「それもそうだな。ほんとに傷大丈夫なら道場いくぞ。」

土方歳三、命令してくんじゃねーよ。うるせぇよ。

「他の奴らも、自分の隊ちゃんと見とくように。では、解散!」

『はーい!』

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