四
そうだ、高校に入って初めて友達と言えるような女子友だちが出来た。
その人と出逢ったのはいつも使っていた駅だった。これから向かう駅な。その日、俺は偶然一本早い汽車に乗れる時間に駅に着いた。いつもよりも三十分ぐらい早かったと思う。そこに同じ学校の制服を来た人がいた。それが例の女子友だちになるんだけど。話しかけたかったけれど、中々出来なかった。
でも、こっちがホームに上がると向こうが気づいてくれた。そしてこう言ってきた。
「もしかしたら、風浜高校ですか?」
制服を見たらそんなのすぐ分かると思ったんだけど俺は頷いた。
「あ、はい……。えっと一年生?」
正直、その時は年下だと思った。敬語を使われたし、背が小さかったし。
「二年です。二年ですよね?」
「なんかごめん。確かに僕は二年やけど。何組?」
「二組」
「あ、遠いな。こっち八組」
「あ! あたし、青海春って言います」
「赤石知志です」
「よろしく」
「こちらこそ」
なんかすごい顔してるけど、気持ちは分かる。でもその事は後で。
と、まあそんな感じで、その日は一緒に学校まで行った。次の日からはまたいつもと同じ汽車で学校に行ったから逢わなかった。一ヶ月ぐらいしてからかな、たまたま早く起きた。三十分前に駅に行ってみたら、青海さんがいた。前よりずっと仲良くなってたし、まるで再会した幼馴染みみたいに感じたんだ。
「意外と会わんね」
「いつもはこの次の列車で行ってる」
「あ、そうなん。学校間に合う?」
「いつもぎりぎりやけど。走ればもっと余裕あるかも」
「――これから毎朝一緒に行かん?」
「え?」
「別に赤石君が良かったらやけど」
「いいけど、多分朝起きれない」
「間に合った日だけでいいよ。来なかったら先行ってるし」
「うん。まあ、頑張ってみるよ」
かなり嬉しかった。幼稚園の時以来、まともに女子と話した事が無かったから。ましてや一緒に学校に行くなんてさ。そのせいで高校でも自然と女子を避けていた。だって話しづらいしさ。
だから、その時は少し距離を置いておこうと思っていたけど、結局はかなり仲良くなってしまった。それからほとんど毎日、一緒に学校行くようになった。
「青海さんは駅からどれぐらいの所に住んでる?」
「かなり遠いよ。車で二十分ぐらいかな……。毎日送ってもらってる」
「それならもっと近いところの高校とかあったやろ?」
「近い所はレベルが合わんかったから……」
「俺とよく似た感じか……」
「赤石くんも?」
「レベルもそうだけど、性にも合いそうになかった。俺の中学の友達のほぼ全員が近くのとこに行ったよ。風浜を受けたのは俺だけ」
「あたしも風浜来たの学校であたしだけやわ」
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