第27章 3学期の合間に
第269話 3学期の状況
3学期は基本的に今までの復習と確認が主な内容だ。
そしてその実態は小テストとテストの山。
俺はテスト勉強はしない主義なので割と他の学期より余裕がある。
1年の時はそれでも少しは勉強したけれど、2年になるともう慣れたものだ。
なので授業終了後の午後は研究室で好き放題に過ごしている。
研究室といっても最近はニ・ホに行ったりもしているけれど。
ニ・ホには早くも飛行機格納庫が作られ、中ではジゴゼンさんをはじめとするスタッフで設計図の飛行機を制作中だ。
滑走路はまだ建造途中だけれども。
飛行機はキーンさんが時々確認して最適化を提言し、更に改良を加える感じ。
小型も大型もかなり出来上がってきた。
超小型は既に何回も飛んでいる状態。
同型機も5機程製造され、軍から選抜された何人かが飛行訓練を始めている。
どうやら海軍主体で飛行隊を作るらしい。
ただ俺達は魔法杖と同様、自分の作った機体は自分で飛ばしていいそうだ。
飛行場を使う場合は事前に連絡してくれとのことだけれども。
大変なのがタカモ先輩。
そんな感じで色々作っているものだから、素材生産全般を担う彼女は働きづめ。
授業終了後は原料の岩が置いてある飛行場脇の施設に固定配置の状態だ。
「お金ばかり一方的に貯まっていくんです。もう現実感が無い金額になっています」
ミナミ先輩製造の魔力回復・増強剤を飲みつつ頑張っているそうだ。
なおタカモ先輩の魔法アンテナはついに完全
恐ろしい金額がかかったようだが、それでも貯まっていく貯金に比べたら大したことはないらしい。
「税金に注意した方がいいですよと忠告はしておきました」
とはナカさんの弁だ。
あと本当は大変な筈のヨーコ先輩、フールイ先輩、ミナミ先輩。
この3人は高等部入学試験があったのだ。
でも特別な様子は全く見せなかった。
気が付けば試験に合格していたという感じ。
少なくとも俺にはそんな感じに見えた。
全くなんだかなという感じだ。
俺は飛行機から少し離れて電気自動車なんてものを作ってみた。
蒸気自動車とは違って小型の2人乗り仕様だ。
バッテリーだけで
何せ自作の鉛蓄電池を使っているのだから性能上仕方ない。
でもウージナの街中へ買い出しに行くときには非常に便利。
加速も蒸気自動車以上だし。
充電もバッテリーを2セット用意しておけば毎日交代で充電すればOK。
どうせ研究室のボイラーは俺達がいる時間は動いているのだ。
主に2階露天風呂の為だけれども。
なお何故こんな物を作ったか。
俺なりに反省すべき事に色々気付いたからだ。
これなら蒸気自動車ほど目立たない。
小型で煙も出さないから見られても『魔法駆動です』と言い張れるし。
他にも風呂の排水時に発生する電力を利用してバッテリーを充電し、研究室の照明や換気等色々なところに使っている。
ただそろそろ研究室の方は交流電化にした方がいいだろうか。
交流だと電圧を変えるのも簡単だし。
今は直流36ボルトを基準にしてあるのだけれど、発電機の接点をちょくちょく取り換えたりするのが面倒だし電圧を変えるのも大変だ。
ただ何も考えずに使うには直流は便利なのだけれども。
この辺は色々考えどころだ。
そういえば俺や研究室以外にも変化があった。
「西南部からみりんという商売敵が入ってきたからさ。うちの工場も新商品を開発したんだ。あの『もっと甘い水飴』を作った工場長の作品だけれどさ」
シンハ君がそう言って持ってきたのはなんと麦焼酎である。
工場で作った水飴に酵母を入れ、発酵したものを蒸留したらしい。
「酒としては安いけれど葡萄酒より遥かに酔えると大好評なんだ」
鑑定魔法で見てみるとアルコール分が6割を超えている。
確かに酔えるだろうけれどヤバいだろこれは。
でも水飴より工程は多くなるもののそれ以上に高く売れるし商品としては正しい。
ちょっと悪い肉の匂い消しなんかにも便利だ。
なので俺も購入してここのキッチンにも常備した。
今は家の店でも取り扱っている。
なおこの国には20歳未満飲酒禁止なんて法律は無い。
だからたまに露天風呂で飲んでいる人がいたりもする。
レモン汁と水飴を入れて更に水で割った仕様が好評のようだ。
ただ水着姿の酔っぱらいが研究室で倒れているのは勘弁してほしい。
まあ本格的に酔っぱらうまで飲む人はあまりいないけれど。
タカモさんが精錬仕事疲れで時々やけ酒を飲んでいる以外は。
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