第238話 お約束の肉祭り
さて、遅くなったがこれから夕食の準備だ。
メインは勿論
食べる分の鹿魔獣の内臓はある程度下で洗ってある。
ミド・リーが殺菌殺虫魔法処理をしたので匂いも割と少ない。
でも下拵えはしっかりやらないと食べている途中でうわっとなったりする訳だ。
例えば胃袋はイボイボな皮を取ってしっかり洗う。
血管の太いのもよくこすって汚れを取る。
大体において最初は塩で、最後に小麦粉で洗うと色々取れるのだ。
特に匂いそうな小腸大腸は殺菌の上蒸留酒に漬けてたりもする。
とどめに濃いめのタレに漬けたりショウガたっぷり入れて煮込んだり。
刺身用の方はハツやタンは生で、ヤバそうな場所は湯がいて薄切り。
焼き肉用はタレか塩麹にそれぞれ軽く漬けておく。
俺とシモンさんがそんなある意味趣味的な部位をやっている間に、ユキ先輩やナカさん、フールイ先輩はサラダとか麦飯とかスープとか他の肉とかを準備している。
いくら
だから他に焼く肉とかも準備している訳だ。
なお今回の俺のスペシャリテはモツ煮込み。
俺がウージナで研究の上作って持ってきた煮込み用の甘辛タレ。
これが腸だったトロトロ肉にじっくりしみ込んだ逸品だ。
高熱&高圧、低温&減圧を繰り返すことで長時間煮込んだ様な状態になっている。
ショウガや蒸留酒等のおかげで嫌な臭いは全く無い。
「腹が減ったのだ。飯はまだかなのだ」
「だったら手伝ってこい」
「私が入っても邪魔になるだけなのだ。だからここで飢えに耐えるのだ」
何だかなと思いつつ回りを見る。
皆さん準備は出来たようだ。
つまり俺が作ったモツ煮込みが最後だったと。
ちょい申し訳無いけれどまあいいか。
「なら運んで貰うとするか」
「待っていたのだ」
肉、肉、肉、肉、肉、サラダという感じで色々テーブル上が賑わっていく。
「初めての人がいるので説明します。こっちの皿はそのままで食べる用です。タレは基本的にこれとこれですが、好みに合わせて自由に選んで下さい。自分の皿の上なら混ぜるのもありです。
こっちの皿の肉は基本的に焼いて下さい。自分の網の上に持っていって生活魔法で熱を通します。だいたい色が変わればOKですが、この辺の肉は良く焼くこと推奨です。他の火加減は自分で適当に最適値を探してみて下さい。
主食はパンでもいいですがこの麦入りご飯に山芋をすった奴をかけて食べるのが肉祭りの時のお勧めです。タレは基本的にこれですが自分の好きな物をかけてください。そのままというのも可です。
あとは普段通りです」
そんな訳で食事開始。
モツの希少部位は無くなるのが早い。
タンは特に人気があるようであっさり消えた。
何かオマーチの3人に申し訳ないな。
そう思ったらミド・リーだのナカさんだのがそれぞれ焼いて勧めていたりする。
ならいいか。
俺は食べられなかったけれど。
でも今の俺の気分はタンではない。
本日のスペシャリテはモツ煮込みなのだ。
邪道は百も承知で麦とろご飯の上に汁ごとのせて食べる。
うん、これこれ。
この甘辛具合、ウージナで研究して作ったタレがいい感じに染みている。
しかもモツがとろっとろ。
味が少々濃いので牛肉の赤身が多い部分をさっと焼いて口直し。
うん、これもいい。
肉につけるタレも色々作って揃えた。
俺自身は煎酒にホースラディッシュの擦りおろしを入れたものが好みだ。
味としてはいわゆるわさび醤油。
本物の醤油よりは優しい味だけれど生肉にも焼いた肉にもいい感じであう。
ただ人気はいかにもという甘い焼肉タレのようだ。
あとはレモン塩もそこそこ人気がある。
西部組はニンニクや生姜、唐辛子のきいた赤くて辛めのタレがお好きな模様。
ユキ先輩、タカス君、フルエさん3人ともこの赤いタレメインで使っている。
ところでミド・リーが色々混ぜた怪しいオリジナルなタレで食べているが、あれは果たして美味しいのだろうか。
俺の鑑定魔法では『試さない方がいい』と警告が出ているのだけれど。
俺のスペシャリテだったモツ煮込みは最初俺しか食べていなかった。
でも少しずつ減りだしたかなと思ったら一気に皆さん取り始め、そこからあっという間に消えた。
俺としては明日も食べたかったのだけれどな。
非常に残念だ。
もっと作っておけばよかった。
もう材料が無いけれど。
やはり鹿魔獣1匹分のモツではこの人数の大食いには勝てない。
牛肉も
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