第185話 禁断の飲食物

 いい感じにポテチが出来た。

 それだけではない。

 更に余分かつジャンクなものも出来た。

 油かすである。

 猪魔獣オツコトの脂身からラードを作った時の副産物だ。

 これが何とかチップという感じに出来上がった。

 だから試しに魔法で更に熱を加え余分な油を落とした後に塩を振ってみる。

 うん、ヤバい。

 サクサクだけれどじゅわっとなかから脂もでてきて不健全かつ美味しい。

 そんな訳でポテチと同様に塩とバジルを振って完成だ。


 いや待てもう一工夫出来るな。

 にんにくを魔法で乾燥粉末化して何とかチップ風の油かすに振りかける。

 よしこれで完璧な出来だ。

 キッチンを片付け、セットを持ってリビングへ。


「何その異臭漂う怪しい揚げ物は?」

 ミド・リーに質問された。

「ふふふ、身体に悪くて栄養価も偏っていて美味しくもないのに後をひく悪魔の飲食セットだ」

「何それ」

「別名をジャンクフードと言う」

 そんな訳でキンキンに冷やしたコーラもどきを圧力容器からカップに注いでいただく事にする。

 まずはポテチから。


 うんいい出来だ。

 強いて言えばバジルの香りがちょっとジャンクさを弱めてしまったか。

 でも美味しいからいいだろう。

 コーラもどきは薬臭いが結構美味しい。

 コーラというよりはドクター●ッパーとかチ●リーコークとかルー●ビアかな。

 実はどれも飲んだことは無いけれど。

 そして禁断の油かすは……最高だ!

 ニンニクの粉で一気にパワーアップしている。

 これはなかなか後をひくぞ。


「ちょっと試してみていいか?」

 フルエさんが罠にはまった。

「どうぞどうぞ。ドリンクもセットでご自由に」

 フルエさんはポテチを一口食べてみる。

 そしてもう一口。

 更に油かすの方も……

「これは変なのだ。食べ終わると次がなんとなく欲しくなるのだ」


「あとこのドリンクがセットなんだ。ちょっと独特で最初は飲みにくいけれど」

「どれどれなのだ」

 フルエさんは一口飲んでうえっという顔をする。

「コレは飲んで大丈夫なものなのか?」

「だまされたと思って食べて飲んでを交互にやってみてくれ」

 その頃になると興味津々な連中が周りを取り囲んでくるわけで……


 結果。

「うう、それほど美味しいとも思えない。なのにどれも止まらないのだ」

「本当だ。これ何なんだよ」

「この脂まみれの塩味とこの飲料の臭さが妙にあいますね」

 ひっひっひっ、泥沼にはまったな。

「こんなの絶対身体に良くない! 良くないとわかっているのに……」

「だから言っただろ、悪魔のセットだって」

「食べなければよかったです……もうすぐなくなりますけれどおかわりは?」

「ドリンクももう空だぞ」

 しまった!

 このコーラもどき、コーラとはほど遠いながらも結構気に入っていたのに!

 作ろうか。

 レシピは一応頭の中に入っている。

 でも俺はそこで冷静になった。


「今日はここまでにしましょう。確かにこれは身体に良くない食べ物です。やめどきを間違えると太りますよ」

「うう……罪作りな食べ物なのだ」

「これは知らない方が良かったかもしれませんね。またいつか欲しくなることがありそうですから」

「禁断症状が出そうだよね」

「依存性が高い嗜好物なんだよ。麻薬みたいに」


「今日は勇気を持って撤退しましょう。でも……」

 そこでアキナ先輩がちょっと考えて、そして口を開く。

「1日1回くらいならいいですよね。明日もまたお願いしますわ」

 全員がうんうんと頷いている。

 まあいいか、合宿中くらいは。


 それにしてもこのジャンクフードセット、なかなか出来が良かったな。

 後でレシピを紙に書いていつでも作れるようにしておこう。

 材料に猪魔獣オツコトが必要だけれどな。

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