第92話 作成改良発案中
翌日、翌々日と合宿は順調に過ぎていった。
だいたい夜の魔獣討伐は3時間もあれば撤収まで終わってしまう。
一度寝て朝に解体作業をしてもう一度仮眠。
その後買い物をしても結構な時間の余裕が出来る訳だ。
その時間を利用して俺とシモンさんは更に魔石利用装置の改良に取り組んだ。
具体的な改良点は小型化及び出力の適正化だ。
まずはコイル抵抗と多段スイッチを使って出力をある程度自由に調節できるように改良した。
でも砦や戦闘用艦艇での防護用としてや、たたら等での風送り用等として充分に実用になる。
魔石利用装置以外にも完成したものがある。
シモンさんが
これはかなりの重量物に対しても充分に実用になることが判明した。
これで蒸気自動車とか
馬車のタイヤに応用してもいい。
何かもう一気に色々進んで、逆に時間が足りなくなりそうだ。
「
「そのうちタイヤ用とか電源用とかで魔獣の乱獲が問題になったりしてな」
「僕もそれを否定できなくなってきたな。僕自身材料としてもっともっと
「俺もだ。俺の場合は
魔獣にしてみればたまったものではない。
「
「構造は
「ただ実験する場所を選びそうだよな」
「現物だけ作って、試験は学校当局に押しつければいいんじゃない?」
「それも手かな」
酷い事を言っているが仕方ない。
一介の中等学校生ではそんな実験が出来る適切な場所など見当がつかないのだ。
まあアキナ先輩やヨーコ先輩、シンハ君あたりに領地の適当な処を紹介しろって言ってみてもいいけれどさ……そうか!
「そういえばシンハの親の領地、水飴が売れたから開拓して麦畑をもっともっと広げるって言っていたよな。あれにこの試作品を使わせれば便利じゃないかな」
「確かに木が生えていようが大岩があろうがお構いなしに地面を耕しそうだよね」
なおシンハ君自身は今は村へ遊びに行っている。
何か美味しい物は無いか探してくるって言っていたな。
「あとはやっぱり馬車に代わる乗り物が欲しいよね、タイヤも出来たし。ミタキ君もそう思うよね」
「鹿魔獣の魔石が山ほどあれば電気自動車にするけれど、実際は蒸気自動車かな」
「そうだね。蒸気機関は今までのと同じでいいのかな」
「低速での力が必要だからピストン式にした方がいいかな。こんな感じで」
シリンダーとピストン、回転軸と吸排気弁を簡単に描く。
「なるほど、蒸気で押し出す形なんだ」
「これを最低2組、出来ればもっと組み合わせようと思う。あとは今までの蒸気機関と同じようにボイラー圧をどれくらいこっちにかけるかで調整すればいい」
「なるほどね。ただこれだと回転速度はかなり低くなるね」
「タービンよりはな。でもその辺はギア比とタイヤの直径で調節すればいい」
「でもどっちにしろ
「確かにそうだよな。タイヤもちょっと太めのにしたいし」
怪しい概念図がガンガンに量産されていく。
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