第三十章 わたしたちの世界、わたしたちの現在
前章のあらすじ
西暦4000年に近い時代。
ドイツ人の女性技師であるグラティア・ヴァーグナーは、超次元量子コンピュータを開発。サーバの中に、仮想世界を作り出す。
実際の世界とまったく同じに作られた太陽系、地球、人類、時を加速させ仮想人類から叡智を得ることが目的だ。
いずれ終焉する宇宙を、輪廻させるために。
それから千年。
超次元量子コンピュータを載せた人工惑星が、地球から各主要星系へと放たれる。
得た情報を仮想世界へと送り込み、多様性、現実性、応用性を高め、深めるために。
だが時の早送りに耐えられずに、超次元量子コンピュータは一基また一基、次々と壊れていく。
残ったのは、試みに時の早送りを一度も実施しなかった一基のみ。
理由は分かっても、地球からの応答はなく、時を送れない一基の仮想世界のみで実験を続けるしかなかった。
実時間で数十億年かかるという実験を。
何度も何度も実験を繰り返す中、管理者である惑星の人工知能は思考する。もう主たる人類もいないはずなのに、宇宙の延命は必要であるのか、と。
答えを導き出すために、白と黒、二つの対立思考を生体ロボットに植え付ける。
が、黒の意思は答えを導くどころか暴走し、宇宙を終わらせること目論むようになる。
繰り返される仮想世界。
都度、前提となる設定に手を加えており、現在の設定は「魔法のある世界」である。
黒の意思は、万が一にもという思いから「魔法という奇跡」が現実世界において与える影響を危惧。
だが、手をこまねいているうち懸念していたことが現実に。この絶対たる現実世界に、魔法使いが誕生してしまったのである。
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