第12話 賭け

 神は、一つの賭けをすることにした。


 人工惑星管理のために、何体かの生体ロボットが存在するのであるが、それらに疑似人格を与えたのである。

 神の意思を極端に分割させた上で、ある二体へと流し込んだのである。


 要は、化学反応を見ようとしたのだ。

 延命を望む者と、望まない者という、人格同士をぶつけることで。


 結局、なんにも起こらなかったが。

 一憶年すらもさほど長い時ではないという、ほぼ無限の感覚の中を、これまで存在してきたのだ。

 延命を望む側にとっても、なにを犠牲にしても守るべきものではなかったのだ。宇宙という存在は。


 これはほぼ、神の予想通りのことでもあった。


 どうであれ、結果を見届けるくらいはしよう。

 今回の、ついに西暦2000年を突破した仮想世界の。


 もう、宇宙の寿命は、ほとんどないのだから。

 あと80億年ほどしか。


 もしも、また失敗したら……

 文明が滅んだり、望む方向性に進まず、やり直すことになったならば……

 あと一回、無理しても二回しか、もう機会はないだろう。


 ただ、神がそれを語るのもおかしな話だが、そうなったならばそれは運命。

 終焉の時まで、眠っていればよいだけだ。




 ただ、神は一つ、読み違えていたのである。

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