第二の死

第13話 呪いか否か

「もう終わりだ……もうおしまいだ……」


 中迫は爪を噛みながら脂汗をたらたらと流す。目の前で有り得ない死を目撃し、頭が混乱している。

 

「皆さん、落ち着いて下さい」

「落ち着いて?九龍頭さん、貴方どういう神経をなさっていらっしゃるのかしら?」


 朝香が挑みかかるような口調で九龍頭に訊いた。九龍頭も九龍頭で何度も同じ所をぐるぐると回っている。


「あれが何かのトリックに見えたかしら?」

「呪いなんて……」

「現にあの人形を壊した和馬が死んだのよ?しかもあんな……」


 朝香は口を押さえた。まだこの別荘の中に些かの匂いがする事は否めない。


「和馬さんに変わった様子は?」

「まぁ、あんな感じでしたからね?」


 美沙絵が言った。


「朝香さんが心配なさってましたので、私の精神安定剤を和馬さんにあげるように朝香さんにお願いしましたの」


 美沙絵は常にカプセルの精神安定剤を常備し、たまに飲んでいるらしい。和馬にとっての酒と同じであろう。この薬師寺家において、自分はまだ門外漢だろうという疎外感が少なからずあるのだ。


「春日さんは……?」

「断じて違います!」


 春日は正気を失っていた。この短時間で完全に老け込んだように見える。


「確かに、先生以外は正直あまり信用できませんが……」

「何ですって!」


 朝香が凄むが、春日は表情一つ変えない。


「それより、この事件の解決を目指さないと……もし、この事件の真相が【呪い】という真相じゃなけりゃね」



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