012 御仏を御氏神をも…… 文法、句切れなし、本歌取り

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  初詣をよめる


仏を 氏神をも 初詣 頼むまじきか 頼みつべきか


・みほとけを みうじがみをも はつもうで たのむまじきか たのみつべきか

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[通釈]

 初詣を詠んだ歌

 仏様を、加えて、産土神様をも、初詣よ、当てにしないほうがよいか、それとも、当てにするほうがよいか。どちらがよかろうか。


[補註]

・文法…結句「つべき」→この歌における「頼む」は、意図があり、かつ、他動詞です。そこで、「ぬべき」でなく「つべき」にしました。(辞典の見出し「つべし」)

・句切れなし。


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仏を 氏神をも 初詣 頼むまじきか 頼みつべきか

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[推敲]

 こういう収まりのよい歌は、既に誰か詠んでいるのでないか、という気がしてきます。


[本歌取り]

  十二月中に立春をむかえた日に詠んだ歌

1 年の内に春は来にけり一とせ去年こぞとやいはむ今年ことしとやいはむ

◯年内に春が来てしまったことだよ。眼前にあるこの一つの年を、すでに春が来たので、去年といおうか。それとも眼前にあるのだから今年といおうか。

   在原元方

『日本の古典 10 古今和歌集 新古今和歌集』河出書房新社「古今和歌集」、整形引用者。


―――――

仏を 氏神をも 初詣 頼むまじきか 頼みつべきか

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(令和元年六月十四日)(二〇一九年)(春歌はるのうた

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