007 曙や春迎ふめり…… 単語、掛詞、二句切れ、本歌取り、散文取り

――――――

  元旦の心を


あけぼのや 春むかふめり 際も端も そとかすみゆく 白影の山


・あけぼのや はるむこうめり きわもはも そとかすみゆく しらかげのやま

――――――――――


[通釈]

 元旦の趣を詠んだ歌

 元日の曙が新春を迎えるようだ。山際も山の端も、遠く静かに霞んでいくのが、見えるので。


[補註]

・単語…第三句「際」→「山際」→空の、山に接する辺り。第三句「端」→「山の端」→山の、空に接する辺り。

・掛詞…第四句「そと」→名詞「外」と擬態語の副詞「そと」。

・二句切れ。


―――――

あけぼのや 春むかふめり 際も端も そとかすみゆく 白影の山

―――――――


[推敲]

 曙も、暁と違い、目で見てわかるので、未知のことへの推定「らし」でなく、視覚による推定「めり」を選びました。

 結句「白影の山」についてですが、雪国在住の方は、雪山の意も含めて読むと雰囲気が出るかと思います。


[本歌取り]

  天皇すめらみこと御製歌おほみうた

春過ぎて夏きたるらししろたへのころもしたりあめ香具かぐやま

◯春が過ぎて夏がやってくるらしい。まっ白な布の着物が干してあるのが見える、その天の香具山には。

   (とう天皇)

『新・要説 万葉・古今・新古今』日栄社「万葉集」(巻一・二八)、一部追記と省略と整形引用者。


―――――

あけぼのや 春むかふめり 際も端も そとかすみゆく 白影の山

―――――――


[散文取り]

 清少納言『枕草子』〔一段〕春はあけぼの……


[更新履歴]

・令和元年七月三十一日(二〇一九年)

 歌そのものを修正(修正前:あけぼのや春むかふめり際も端もさはとなりゆく白影の山)。

・令和元年六月十三日(二〇一九年)

 歌そのものを修正(修正前:あけぼのや春むかふめり際も端もやうやうなりゆく白影の山)。

・令和元年六月九日(二〇一九年)

 歌そのものを修正(修正前:あけぼのの春むかふめり山の端もやうやう白くなりゆけるかな)。



(令和元年五月二十六日)(二〇一九年)(春歌はるのうた

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る