005 暁や春迎ふらし…… 単語、二句切れ、本歌取り、散文取り
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元旦の心を
暁や 春
・あかつきや はるむこうらし むらさきに こくもかそけく かかりゆくそら
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[通釈]
元旦の趣を詠んだ歌
元日の暁が新春を迎えるらしい。夜明け前の空が、濃くもかすかに紫がかっていくように見えるので。
(第二句の推定「らし」に対する根拠は、第三句から結句まで。)
[補註]
・単語…第四句「かそけく」→かすかだ。淡い。ほのかだ。(終止形「幽けし」)
・二句切れ。
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暁や 春
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[推敲]
大野城みずきにとって、「暁」は、夜明け前の時間帯になっても、その存在場所が空のどの辺りにあるかよくわからないのものなので、それで、未知のことへの推定「らし」を選びました。
「らし」の確かな根拠についてですが、何だか矛盾していて、「紫がかっていくように見えるので」という中途半端な変化が確かな根拠になっています。矛盾を覆すならば、程度は関係なく、「変化そのもの」が確かな根拠というわけです。
さて、清少納言『枕草子』の「春はあけぼの……」の段に出てくる「紫」は、ほとんど濃赤に近い色であったようです(『新・要説 枕草子』日栄社)。現代というか、大野城みずきの感覚とは、ずいぶん違います。
[本歌取り]
“
春過ぎて夏
◯春が過ぎて夏がやってくるらしい。まっ白な布の着物が干してあるのが見える、その天の香具山には。
(
”
『新・要説 万葉・古今・新古今』日栄社「万葉集」(巻一・二八)、一部追記と省略と整形引用者。
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暁や 春
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[散文取り]
清少納言『枕草子』〔一段〕春はあけぼの……
[更新履歴]
・令和元年六月九日(二〇一九年)
歌そのものを修正(修正前:暁の春
(令和元年五月二十六日)(二〇一九年)(
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