第8話 オムライス
「神部くん、帰ろうか?」
木藤さんに声をかけられる。
まだ、昼前だ。
「えっ、もう?」
「うん。後は部屋で仕上げるから・・・」
「そう・・・」
詳しくは見ていないが、漫画でいうネームみたいな感じだろう。
木藤さんと他愛のない会話をしながら、静養所に着く。
「ごめんね。朝から付き合わせて」
「いいよ。確かにリラックス出来たし・・・」
「ありがとう」
笑顔で言われる。
くすぐったい。
ここは、3食の食事が、全て計算されている。
それそぞれの、入居者にあったメニューになっている。
健康第一なので、味は二の次で、贅沢は言えない。
昨日も、思った通りだ。
しかし・・・
「神部くんは、私に気にせず好きな物頼んでいいよ」
「レストランじゃないんだから・・・」
「大丈夫だよ。すいませーん」
木藤さんが、調理師・・・いや、栄養士と何か話している。
あっ、終わったようだ。
「すぐに来るからね」
いや、すぐに来るようでは、不安なんだが・・・
程なくして、料理が運ばれて来た。
「オムライス?」
「好きだったよね?神部くん」
「覚えていてくれたんだ」
「もちろんだよ。あっ、ケチャップで絵を描いてあげる」
木藤さんは、そういうと、ケチャップで僕の似顔絵を描いた。
「美味しく、美味しく、美味しくなあれ(はーと)」
あのね・・・
「はい、召し上がれ」
「メイド喫茶ですか?」
「行ったことあるの?」
「ねーよ」
完全に、主導権を握られている。
でも、美味しかったな・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます