第7話 風の声
チュン、チュン、
小鳥のさえずりが聞える。
あれ・・・ここは・・・
「神部くん、お早う」
「あれ、木藤さん?ここは・・・」
「もしかして、寝ぼけてる?」
あっ、そうか・・・
昨日、木藤さんのいる静養所に来たんだ。
「神部くん、顔を洗って来て」
「うん、そうする」
木藤さんに言われた通り、洗面所で歯を磨き顔を洗う。
明日には帰るが、今日はどうしよう?
たしか、木藤さんが案内してくれるはずだが・・・
「神部くん、朝食食べたら、付き合ってくれる」
「そのつもりだけど・・・て、そうさせるために、呼んだんでしょ?」
「うん、君にも、リラックスしてほしくてね」
「ありがと」
朝食を食べた後、外出することになった。
「神部くん、どこ行きたい?」
「海に行くんでしょ?」
「どうしてわかるの?」
「だってそれ・・・」
木藤さんは、スケッチブックを持っていた。
ここらで描く物と言えば。風景画になるが、まだ人手の少ない海がいいだろう。
「神部くんも描く?」
「持ってきてない」
「買ってあげるから」
答える前に、コンビニでスケッチブックと鉛筆を買ってくれた。
「はい」
笑顔で渡される。
「ありがと」
「いいえ。」
何だか、心が落ち着く。
そして、浜辺に着く。
「さてと・・・」
木藤さんは、浜辺に座ると、スケッチブックを取りだす。
そして、鉛筆を手にすると、さらっと描いていた。
「ラフ画?」
木藤さんの眼は真剣だ。
言葉ははさめない。
さてと、僕も描こう。
木藤さんに買ってもらった、スケッチブックと鉛筆を手にした。
そして・・・
だめだ・・・
木藤さんみたいにはいかない。
しかし、風が心地よい。
眼を閉じると風の声が、聞えてくる。
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