第2話 変わった髪と、変わらぬ仲

「神部くん、大きくなったね」

「同い年に、言うセリフ?」

「そうじゃないよ。男の子は成長が早いんだね」

「これでも、170ないんだよ」

「うそ。痩せてるからかな・・・」

「ほっとけ」

昔と変わらない会話が、そこにはあった。


僕は、本来は世に言う陰キャラだ。

今もそれは、残っている。

でも、少しではあるが、明るくなれた。


それは、彼女「木藤めぐみさん」の、お陰だ。


クラスに馴染めず、孤立していた僕に彼女は声をかけてくれた。

最初は、冷やかしと思っていた。

まあ、みんなそうだろう。


陰キャラに、声をかけるなんて、冷やかしとしか思われない。


でも、彼女は違った。

それはあるきっかけがあったのだが・・・


「神部くん」

「あっ、何?」

「どうしたの?ぼんやりして・・・」

「少し、昔の事をね・・・」

「そうなんだ」

少し心配そうな顔になったが、すぐに笑顔になる。


この笑顔には、何度も救われた。


「今日は、本当に来てくれてありがとう。会えて嬉しいよ」

「僕もだよ・・・」

「ごめんね。せっかくのGWなのに・・・」

「いいよ。親にも追い出されたし・・・」

そう。

親からも、家にいても同じだから、行って来いとの、お墨付きだ。


「じゃあ、行こうか。この辺りを案内してからね」

「よろしく頼みます。姫」

「男の子なんだから、守ってね。王子様」

「了解しました」


2年ぶりの再会となる、木藤めぐみさん。


でも、そのブランクは感じなかった。

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