パステルサマー

勝利だギューちゃん

第1話

ガタンゴトン


列車は、走る。

車窓には、水平線が見えてきた、

もうじき目的地に着く。


僕は、列車の窓を開けた。


心地よい風が吹き抜け、潮の香りが漂ってくる。

とてもきれいな、青い水平線。


都会の汚い海とは、違う。

まあ、僕の住んでいる所には、海はないが・・・


車掌のアナウンスが聞えてくる。

≪次は終点、佐間野駅です。お降りの方は、お忘れ物ございませんように、

お気を付け下さい≫


季節は、まだ春。

夏場になれば混雑するであろう車内も、今は空いている。


僕は荷物を準備して、ドアへと向かった。

まあ、そんなにないし、あわてることもないのだが・・・

落ち着かないのは、貧乏性か・・・


駅に付き、ドアが開く。

外に出て、駅舎を出た。


まだ自動化はされていないのが、和ませる。


さてと・・・


駅舎の眼の前にある、浜辺に出た。

見渡す限りの水平線。


「これが全部、僕のものか」

気分が大きくなる。


ふと目の前が暗くなる。

「だーれだ」


僕にこんなことをする人は、ひとりしかいないな・・・


「木藤めぐみさん。7月20日生まれの17歳。O型。

動物占いは、ひつじ。好きな食べ物は、フルーツ(表向き)と、焼き肉(裏)。

好きな動物は、イルカ。好きな花は、ひまわり。好きな・・・」

「あっ、もういいよ。当たり」

目の前が、明るくなる。


振り返ると、声の主がそこにいた。


「やあ、久しぶりだね。神部透(かんべとおる)くん」

「ひさしぶり。木藤さん。元気だった?」

「うん、もう有り余ってるよ」

とても、元気そうだ。


「髪、伸びたね」

「気付いてくれたんだ。ありがとう」

最後の会ったのは、2年前。

その時は、セミロングだったのが、今はロングヘアーで、ポニーテール。


誰でも、気付くな・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る