第19話妹の場合②
まぁ、二人の喧嘩を止め、無事にショッピングモールに辿り着いた俺たちは当初から予定していた服を買いに来ていた。
「カオル、この服とジーンズ合うと思う?」
「お兄様、このワンピースどうでしょうか?」
俺は二人の満足いくまで試着の相手をするものだった。
十数分前
「では、決してやましい事をしにいくのでは無いのですね?」
どうやら楓は俺と渚がやましい事をするのかと思っていたらしい。
「そんな事するわけないだろ?普通にショッピングだよ、ショッピング」
「うぅん、本当ですか?私に嘘をついてたらしませんよね?」
「し、してないしてない!」
楓は何より嘘が嫌いなのだ。少しの嘘でも拗ねたり怒ったりする。
「本当にショッピングだけと言うなら私も連れてって下さい。ちょうど欲しいものがあるので」
と、言う訳だ。
「おふたりさん、かれこれ2時間くらい服しか見てないけどそろそろほかも見に行こうぜ?」
「じゃあ、今度は私の買い物に付き合ってもらえませんか?」
「あぁ、いいとも」
「………まぁ、別にいいか」
「では、参りましょう!」
〜移動中〜
「あっ、ここです!お兄様、早く!」
「はは、そんなにはしゃぐな、走ってこけたりしたらたい…へ?」
我が妹は「重愛恵屋」と書かれた不審な店の前で手を振っていた。
「……やっぱりここか…」
「あの、渚さん?」
「とにかく、早く入るよ。妹さんが待ってるんでしょ?」
俺は渚に手を引かれ気味が悪い店内に足を運んだ。
中は少し薄暗い所もあれば、ピンクに染まった部屋があったりする。
何か少し寒気が…
「あぁ、ありました!標的拘束用五寸釘!」
なんだそれ…
「んー、そろそろ睡眠スプレー買おうかな?」
寒気が…強まったような?
「紅茶用の睡眠薬もいいなぁ…」
さ、寒い………
「拘束用の手錠も買い時かな?」
震えが…止まらない…
「スタンガンも捨てがたいです!」
あれ、なんか今日調子が良くないのかな?帰ろうか…
「でもやはり…」
「これかな!」
『秘薬!男が雄になる発情薬!」
よし、帰ろ!
俺は全力で逃げ出した。
「いやぁ、とてもいい買い物ができました!大満足です!」
「ふひひ、気に食わないけどあの店を知ってるとはなかなかお目が高いね!流石好きな人を堕とす道具屋さんだね!」
二人はホクホクな顔でお店を出てきた二人を俺は遠くから観察していた。
あとはこの近くの男子トイレで身を隠すだけ!
「何故か防音完備のトイレなのが疑問だが、今は好機!このまま耐え切ってほとぼりが冷めるまでま…て……ば」
正直言って自分の妹だからここまではしないと甘く見ていたのかもしれない。
「お・兄・様?」
トイレの扉が何故か開き、妹が乱入してきた
「何故ここが…、なんてメタなセリフは不要かな?」
「はい♡妹たる者、常日頃兄の居場所、体調、心拍数、性処理した回数とティッシュの捨て場所まで、完璧に把握するのです」
皆さま、お分かりいただけただろうか?
これがヤンデレあります。
「はぁ、お兄様は私の買い物に付き合ってくれると言ったのに、嘘をついて逃げ出しましたね?嘘ついた人は五寸釘千本飲まないとダメなんですよ?」
そう言って恐らく入っているのだろう、沢山の五寸釘の入った袋を差し出してくる。
「五寸釘は素晴らしいですよ!投げれば相手の拘束、刺せば敵であるメスたちの駆除、このように嘘の制裁にも使えるのです。愛ゆえの五寸釘、これが私のお兄様への愛です!」
「そんなカチコチの愛なんか要らん!誰か!助けて!!」
精一杯叫ぶも、一向に誰も来やしない。
「そういえばここ、防音対策してるんだった…」
「さぁ、私の愛、召し上がれ♡上の口でも下の口でもどちらでもどうぞ♡あっ、下の時は食べやすいよう愛を持ってペロペロしてあげますね!」
「ちょっ、楓さん!?ダメ、え、け、穢される!誰か!誰かーーーーー!!!」
結果、食べない代わりに人には言えない事をされました…
グスッ、俺たち兄妹なのに……。
ー続くー
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