第11話NOの証明

「もう一度聞くけど、カオルは僕の事好き?嫌い?必ず好きか嫌いで答えて」


レオはこちらを見据えて再度問いかけてくる。

だが、こちらの答えはもう決まっている。


「ごめん、俺は今の君が嫌いだ」


そう、きっぱりと告げた。

俺的にもかなり悩んだが、やはり間違っているから正さなければならない。


だからそう告げた。


この選択に後悔は無い。筈だ、


「そう、そうか…そうなんだ…」


彼女はとても悲しそうな目をしていた。



〈レオ視点〉

「ごめん、僕は今の君が嫌いだ」


彼はそう言ってきた。

そっか…やっぱりそうだよね。


最初から分かってたんだ、彼が振り向く筈が無いって。

カオルの周りには本当によく女の子が集まる、幼馴染にクラスのお嬢様、果ては自分の姉までがカオルに恋をしている。


カオル、僕………私はね?

君が思っているほど明るくはなかったんだよ?

どちらかと言えば暗い性格だったし、輪の中に自ら入ろうとは絶対しなかったんだ。


でも、君に出逢って私は変わった。


最初はただの男の子なのかなって思ったんだ。


でもね、君を見ているとね?なんだか胸の奥が暖かくなったんだ。


私は君に恋をしたんだ、心の底から本当に愛せる君に。


そこからだよ、必死に努力して運動に取り組んだのは、勉強は苦手だったから、でも君に振り向いて欲しかったから。


でも、それと同時に気づいたんだ。


私には敵が多すぎるんだ、恋敵というものが


私がどれだけ運動に力を入れようともきっと他の人に抜かされてしまう。


私がどれだけ勉強に力を入れようとも、それも誰かに負けてしまう。


私は君の特別な何かになろうと死に物狂いで頑張った。


入りたくもなかった輪の中に自ら進んで入り、付き合いたくも無い恋敵とも仲良くするように頑張った。


そこには嬉しかった事もあったけど、それよりも辛いものがあった。


時にはストレスで禿げてしまうのでは無いかと思った日もあった、自殺しようとまで考えた事もあった


でも、君がいたからここまで来れたんだ。


偽りだらけ、嘘だらけの私


もう、自分が誰なのかもよく分からない、カオルに好きになってもらう事だけが私の存在理由だった。


「レオの気持ちも嬉しい、でも、このやり方は良く無いよ。大丈夫、俺たちは友達じゃないか、またやり直せるさ」


嘘だ。


今、君の中では私は酷いやつ扱いをしている筈だ。


ただ、君に好かれようとしただけなのに


今、君は私の事が心から嫌いな筈だ。


ただ君に振り向いて欲しかっただけなのに


「ははは…もう…疲れた…疲れたよ」


「れ、レオ?」


私は彼の顔に近づき、強引に唇を奪う


カオルは心底驚いたのか、口をパクパクしている。


「私はただ、君に好かれようとしただけなのに…好きなって欲しかっただけなのに…!」


どうしようもない怒りが雫となって、滴る。


「君のせいだ。そうだ、君のせいだよ。

君のせいで私は壊れちゃったんだ!あはは!じゃあ責任取ってもらわなきゃ!あはははははははははハハハハハハハ!」


私は壊れた



ただ、彼との繋がりを欲するために、カオルの服を破り捨てた。


そして、ほぼ本能的に彼の身体にむしゃぶりついた。

彼が必死に抵抗していたが数発殴ったら大人しくなった。

何か言っていた気がしたがそんなの気には止めない。


中に彼のを入れて、出させ、無くなればありとあらゆる方法でまた立たせ、再び出させた。


もう、客観なんてどうでも良い、印象なんてクソ食らえだ。


私にはカオルさえいればそれでいい。



それで良いんだ…





–END−


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