第7話クラスメイト(タイプB・C)の場合②

「では、そこに座ってください」

俺はリア充や恋人がよく利用する屋上に来ていた。

正直ここに来ると何故か無性に悲しくなってくるからいつもは教室で野郎どもと一緒に食べていたのだが、今回は俺にも二人の天使が付いているのだ。


恐れる事は無い!立ち向かうぜ!


「何であいつラニ達と一緒にご飯食べてんだよ…」

おうとして、やめたくなった。

そうだよねー、ラニ達って容姿も良いし、誰とも触れ合えるから俺みたいな平凡な人民とは雲泥の差だよな…


「なぁやっぱ、500円あげるから帰って良いかな?」

「何言ってるんですか?せっかくここまで来たのに、ヘタレですか?レオ、カオル君が逃げないように捕まえといて」


レオはオッケ〜といい、俺の背中から抱きつく形で拘束する、くっ!良い匂いが…!

あと、背中に柔らかい感触が!お、女の子ってなんでこんなに柔らかいんだ?マシュマロみたいだ…


『あいつ、絶対○す…』

と周りから死の宣告を告げるかのような目線を一斉に浴びる。

誰か護衛頼んで良いですか?え、無理?そっか…


するとラニはこっちの様子に気づいたのか顔をこちらに近づけてくる。

「どうかしましたか?」

「俺、もしかしたら明日4んじゃうかもしれない」

「そんな事ないでしょう、何を言っているのです?頭大丈夫?」

うん、わからないしれないけど君達のファンみたいな人達に今俺絶賛呪われ中なんだよなー

マッタクコワイナーホント、


しかし、何やかんやで、無事4ぬ事なくレジャーシートを敷き、3人座ることに成功した俺は生きている喜びを噛み締めていた。

そこで気が抜けたのかぐぅうぅううとお腹が情けない声を上げる。


「あはは、橘もお腹空いてんだ!僕もなんだよ!ねぇ、姉ーちゃん、早くご飯!ご飯!」

「ご飯!ご飯!」

俺も一緒にご飯早よくれコールを叫ぶ


「はいはい、わかったから子供みたいな事を言わないの!ちょっと待ってて…」


そう言って彼女はランチボックスの中からサンドイッチの入った箱を2個取り出す


「姉ーちゃんのサンドイッチは最強にうまいいんだぞ!」

そう言いながらレオは両手にサンドイッチを持ち、大きく頬張った。

「さて、俺もサンドイッチをと…」

そう言って手を伸ばそうとする

「カオル君、よければあーんしてあげます」

「橘〜これ食べるか?」

二人とも俺にサンドイッチを向けてきた


何故か二つとも食べかけのをだ


「あの〜出来れば誰も食べてない奴を貰いたいのですが」

しかし、彼女らはキョトンとして、

「何を言っているんですか?誰も食べてませんよ?」

「そうだよ!元々千切れてただけだから!」

嘘つけ!レオさっき俺の前で食ってただろが!がっつりと齧ってるじゃん!


間接キス、男子はそれに少しの興奮を覚えるのではないか?

我々の中でも小学生の頃、好きな女子のリコーダーを吹いたという人もいるのではないか?

何?お前はどうなんだって?

するわけがなかろう?俺は少なくとも紳士だ。



…嘘だ、やってはいないが、やるギリギリまで踏み込んだ事はある。

それ以上の検索はするな(ギロッ)


しかし、あの時は若さゆえの行動だから、どうしようもないと俺は主張する。主張する。

俺はもう高校生だ、だから俺の出す答えはノー、悪いが断らせてもらおう。

「すまないな二人とも、俺はこのサンドイッチを、ワプゥ!?」

断ってまだ手のつけられていないサンドイッチを取ろうとした途中で口の中に何か柔らかいものが入ってくる

「美味しいですか?私のサンドイッチ」

「美味いか〜?僕のサンドイッチ」

こ、こいつら無理やりねじ込みやがった…


しかし、ここで吐き出す訳にはいかない、俺は口の中のサンドイッチを咀嚼して飲み込む。

何故か少し甘い味がした気がしなくもない。

「うん、美味しいよ、二人とも」

俺は笑いながらそう告げる

正直食べかけじゃ無かったらもっと安心して食えたのにな。


「それは良かったです、作った甲斐があったというものです」

空になった籠を回収しながら彼女はニッと笑った。

あぁ、そうそうと言って彼女達は俺の近くに寄ってきて


『私(僕)の唾液も美味しかった?』


と、両方の耳元に囁いてくる

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」

背中がゾクゾクとし、顔が真っ赤になり、二人から顔を遠ざける。いや、遠ざけざるを得なかった。


そこで周りを見て気づいた、寒気が走る、


『リア充め、爆発しろや!』

まさかリア充にそのフレーズを聞くことになるとは、世も末だな。


そして騒がしいお昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響く。


「ほんと…疲れた…」


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